マレーシアのオフィスビルやショッピングモールで、夏も冬も快適な室温が保たれているのを不思議に思ったことはありませんか?年間を通じて気温30℃超が当たり前のマレーシアでは、冷却コスト(クーリング費)は建物運営の最大コスト要素のひとつです。
その冷却エネルギー業界で今、注目を集めているのがブルサ・マレーシアACEマーケット上場のKJTS(銘柄コード:0293)。2026年5月、投資銀行UOB Kay Hian Researchが「買い」を推奨し、目標株価を現在比約42%上の水準に設定しました。
KJTSとはどんな会社か
KJTSは「Cooling-as-a-Service(CaaS)」をコア事業とする企業です。ショッピングモールやホテルに冷却システムを外部サービスとして提供し、顧客側は高額な設備投資をせずに冷却インフラを利用できます。
日本でいえば、大型空調設備を自己所有・維持するのではなく、「使った分だけ払う」サブスクリプション型の空調サービスに近いイメージです。設備保守も含めてアウトソーシングできるため、ビル管理会社にとってコスト予測がしやすいのが特長です。
iHandal買収で何が変わるのか
2026年4月、KJTSはiHandal Holdings Sdn Bhdの株式70.7%を取得しました。この買収が今回の株価再評価の核心です。
KJTS × iHandal の事業シナジー
| KJTS(既存) | iHandal(新規) | |
|---|---|---|
| 事業内容 | 冷却エネルギーの外部提供 | 廃熱回収・省エネ技術 |
| 主要顧客 | ショッピングモール、ホテル | 工業団地・製造業工場 |
| 技術の強み | 大型冷却設備の設計・運営 | 工場排熱を有効活用するシステム |
iHandalは工場などから排出される「廃熱」を回収・再利用する技術を持っています。日本でいえば、コジェネレーション(熱電併給)や廃熱ボイラーを導入する省エネソリューション企業に近いイメージです。
なぜ組み合わせると強いのか
KJTSがこれまで顧客としていたショッピングモールやホテルに、iHandalの省エネソリューションをクロスセルできます。逆に、iHandalが持つ工業顧客ネットワークを通じて、KJTSの冷却サービスを工場・倉庫へも拡大できます。
この相乗効果により、事業モデルは「Cooling-as-a-Service(冷却特化)」から「Energy-as-a-Service(EaaS、総合エネルギーサービス)」へと大きく進化します。
さらに、iHandal買収には年間300万リンギット(約1億1,940万円)の利益保証が付帯しており、短期的な業績への貢献も見込まれています。
株価データと投資家の評価
| 指標 | 数値 | 備考 |
|---|---|---|
| 現在株価(5月21日終値) | RM 0.775(約30.8円) | ACEマーケット上場 |
| 目標株価(UOBケイヒアン) | RM 1.10(約43.8円) | 現在比+41.9% |
| 推奨スタンス | 買い(Buy) | UOB Kay Hian Research |
| 予想EPS(FY2027) | 4.4セント | 1株あたり利益 |
| 予想PER(FY2027) | 16.9倍 | 株価収益率 |
| 予想配当利回り(FY2027) | 0.8% | — |
目標株価はiHandalからの利益貢献が2026年第2四半期(4〜6月)以降に本格化することを前提としています。
日本との比較:ESCO事業との類似点
日本にも「ESCO(Energy Service Company)事業」と呼ばれる省エネサービス産業があり、ビルや工場の省エネ改修を実施し、削減されたエネルギーコストから報酬を得るビジネスモデルが普及しています。KJTSが目指すEaaSはこれに近い概念です。
ただし、日本との大きな違いは「冷却需要の恒常性」にあります。日本の空調需要は夏冬に集中しますが、マレーシアでは365日、建物の冷却が必要です。これが安定したキャッシュフローを生む構造的な強みになっています。
日本人投資家が知っておくべきこと
マレーシア株への投資に関心がある方向けに、基本情報をまとめます。
マレーシア株式市場の基礎知識
| 項目 | 内容 | 日本でいうと |
|---|---|---|
| 取引所 | ブルサ・マレーシア(Bursa Malaysia) | 東京証券取引所 |
| ACEマーケット | 成長企業向け市場 | グロース市場(旧マザーズ) |
| 取引通貨 | マレーシアリンギット(RM) | 円 |
| 外国人投資 | 基本的に制限なし | — |
注意点
- ACEマーケットの特性: 成長期待が高い一方、価格変動(ボラティリティ)も大きめです。東証グロース市場と同様、業績の進捗次第で株価が大きく動くことがあります。
- アナリスト推奨は参考情報: UOBケイヒアンの「買い」推奨はあくまで一つの意見です。投資判断は自己責任で行ってください。
- 為替リスク: RM→JPYの為替変動リスクがあります(執筆時点:1RM=39.8円、2026年6月7日時点)。
- 口座開設: マレーシア在住の方は、Maybank SecuritiesやCIMBなどの地元証券会社で口座を開設するとブルサ・マレーシアの株式を購入できます。
まとめ
KJTSはiHandal買収を通じて、「冷却サービス企業」から「総合エネルギーサービス企業」への脱皮を図っています。商業施設向けと工業向けの顧客基盤を組み合わせることでクロスセルの機会が広がり、業績拡大が期待されます。マレーシアのエネルギー効率化ニーズが高まる中、成長軌道に乗れるか注目です。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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