マレーシアで買い物をしたことがある方なら、百貨店のファッションコーナーで「Hush Puppies」や「Champion」の看板を見かけたことがあるのではないでしょうか?
じつはこれらのブランドをマレーシアで展開している企業、Bee Same Group(ビー・セイム・グループ)が、マレーシアの株式市場「ACE市場」(創業板)への上場申請を行ったことがわかりました。
ACE市場とは?——日本の「グロース市場」に相当
マレーシアの株式市場は、規模と成熟度によって大きく2段階に分かれています。
| マレーシア | 日本 | |
|---|---|---|
| 大型・安定企業向け | メイン市場(KLSE) | 東証プライム |
| 成長企業・中小企業向け | ACE市場 | 東証グロース |
| 上場審査基準 | 成長性重視・柔軟 | 将来性・流動性重視 |
ACE市場は日本の東証グロース市場に相当するポジションで、まだ成長途上にある企業が上場しやすい仕組みです。今回Bee Sameが申請したのはこのACE市場です。
Bee Same Groupとはどんな会社?
Bee Same Groupはマレーシアを本拠とするファッション流通・小売企業です。百貨店内のカウンター販売を主力チャンネルとしており、マレーシア国内に392カウンター、ブルネイに13カウンター、クチン(サラワク州)とペタリン・ジャヤに直営ブティックを2店舗構えています。
取り扱いブランドは代理店ブランドと自社ブランドの2軸です。
ブランド一覧
| カテゴリ | ブランド名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 代理店・ライセンス | Hush Puppies | カジュアルシューズ・アパレルで世界的に有名なアメリカ系ブランド |
| 代理店・ライセンス | Beverly Hills Polo Club | ポロシャツ系のカジュアルファッション |
| 代理店・ライセンス | Austin Reed | 英国紳士服ブランド |
| 代理店・ライセンス | Champion | スポーツ・ストリートウェアのアメリカブランド |
| 自社ブランド | Nicole | 女性向けファッションブランド |
| 自社ブランド | RAV Design | メンズカジュアル |
| 自社ブランド | Ferrero | レディースファッション |
| 自社ブランド | Shedy | ファッション雑貨系 |
売上構成は代理店ブランドが50.85%、自社ブランドが37.91%、ホワイトラベル(OEM受託)が11.24%となっています。
2025年3月期の業績
| 項目 | 金額(RM) | 日本円換算(1RM=40.1円・2026年5月14日時点) |
|---|---|---|
| 売上高 | 8,773万RM | 約35.2億円 |
| 純利益 | 785万RM | 約3.1億円 |
売上の92.51%はマレーシア国内が占め、残りはインドネシア(6.39%)、ブルネイ(0.91%)、香港・シンガポール(0.19%)です。国内集中型のビジネスモデルといえます。
IPOの概要
今回の上場申請では、新規発行株5,874万株と既存株主放出株1,958万株を合わせた最大30%の株式が市場に放出される見込みです。IPO価格はまだ未定で、今後正式な目論見書が公開される予定です。
調達資金の主な使途は、自社ブランド「Nicole」の直営ブティック4店舗の新規開設。代理店ブランドへの依存を減らし、自社ブランドの存在感を高めることで収益構造を安定させる狙いです。
注目すべきリスク:Parkson百貨店への依存
Bee Sameの主な販売チャンネルは百貨店カウンターですが、その中でもParkson(パークソン)百貨店への依存度が高く、売上の30%以上を占めています。
Parksonはかつてマレーシア最大手の百貨店チェーンでしたが、近年はモール型ショッピングセンターやECの台頭により業績が低迷し、閉店が続いています。
日本で例えるならば、「売上の3割以上をそごう・西武の1社に依存しているアパレルメーカー」のような状況です。百貨店業態が厳しさを増す中で、この依存構造がBee Sameの財務安定性における最大のリスク要因とみられています。
日本人向けメモ
- マレーシア株投資に興味がある方へ: ACE市場はグロース市場のため、メイン市場に比べて株価変動が大きい傾向があります。上場後の価格推移は慎重に見極めることが大切です。
- Hush PuppiesやChampionをご存じの方へ: これらのブランドは国際的なライセンス契約のもと、マレーシアではBee Sameが展開しています。同じブランド名でも、商品企画や品質は国・地域によって異なる場合があります。
- 百貨店の現状について: マレーシアではParkson、Isetan、Robinsonなど日本にもなじみのある百貨店が展開していますが、ショッピングモールの台頭により百貨店業態全体が苦戦しています。Bee Sameのビジネスモデルはこの構造変化に直接影響を受けやすい点に留意が必要です。
上場が実現すれば、マレーシアの株式市場に新たなファッション株が加わることになります。日本人在住者にも身近なブランドを多く扱う同社の今後の動向は、マレーシアのファッション小売業界の潮流を読む上でひとつの指標となりそうです。
写真: Umar Al Farouq / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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