電気代値上げでインフレ2%に|家計への影響は?

マネー・生活費

最近、マレーシアで電気代の請求書を見て「あれ、高くなった?」と感じた方はいませんか?その感覚は正しいのです。マレーシア統計局(DOSM)が発表した最新データによると、2026年5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.0%上昇し、4月の1.9%から小幅ながら加速しました。その主役は、政府が導入した電力附加費(電気サーチャージ)です。

インフレ率2%とはどういう意味か?

「2%」という数字だけを見ると日本人には「たいしたことない」と映るかもしれません。日本も2023〜2024年に3〜4%のインフレを経験したばかりですし。ただし、マレーシアは長年「低インフレ国」として知られており、エネルギー補助金や食料補助でインフレを抑え込んできた歴史があります。その文脈で2%というのは、「補助金縮小が生活費に波及し始めている」という重要なシグナルです。

指標 4月 5月 変化
総合インフレ率 1.9% 2.0%
コアインフレ率(食品・エネルギー除く) 2.0% 2.0% → 横ばい

コアインフレが横ばいを維持しているのは「基礎的な物価は安定している」ことを示しており、今回の押し上げ要因はあくまで政策的な電力料金変更によるものと読めます。

主因①:電力附加費(Electricity Surcharge)

2026年から政府は段階的に電力補助金を見直し、一定使用量を超えた家庭や商業施設に「附加費(サーチャージ)」を課しています。これは日本でいう「燃料費調整額」に近い制度です。日本では電力自由化後に各社が燃料費調整を毎月変動させていますが、マレーシアでは政府が补助金政策の一環として料金を管理してきた歴史があります。

今回の附加費導入は、燃料補助金の財政負担を軽減するための構造改革の一環。電力料金の上昇は製造業・飲食業・小売業のコストにも波及するため、間接的にあらゆる商品の価格を押し上げる「根っこ」の要因です。

主因②:野菜価格の上昇

野菜価格の上昇も物価を押し上げました。マレーシアは国内農業の供給量が限られており、雨季や干ばつの影響を受けやすい構造があります。在住者の方なら、ウェットマーケット(生鮮市場)やスーパーで葉物野菜の価格が先月より高かった……という経験があるかもしれません。

緩和要因:航空運賃と燃料価格の落ち着き

一方で、物価上昇を抑える方向に働いた要因もありました。

緩和要因 内容
国内線の航空運賃 インフレ寄与度が低下
RON97(ハイオク)価格 上昇ペースが鈍化
ディーゼル燃料価格 同上

RON97は補助金対象外の市場価格連動型燃料。原油価格の落ち着きが価格上昇を抑えた形です。

リンギット小幅上昇・銀行セクターは健全

5月中、リンギットは対米ドルで0.1%小幅上昇しました。輸入インフレ(ドル建て輸入品の円換算価格上昇)の圧力がわずかに和らいだことを意味します。

銀行セクターの主要指標も引き続き健全です:

指標 5月数値
民間非金融セクター信用成長率(前年比) 6.4%(4月5.8%から加速)
企業債(社債残高)成長率 8.0%(4月6.2%から加速)
商業ローン成長率 7.0%(4月6.2%から加速)
家計ローン成長率 5.5%(横ばい)
不良債権比率(NPL) 1.4%
純NPL比率 1.0%
流動性カバレッジ比率 149.2%

信用成長率の加速は「経済活動が拡大している」プラスのシグナル。NPL比率1.4%・流動性カバレッジ149.2%という数字は、銀行システムが引き続き安定していることを示しています。日本の銀行規制(バーゼルIII)では流動性カバレッジ100%以上が求められていますが、マレーシアは大きく余裕を持って基準をクリアしています。

日本人在住者が知っておくべきこと

日本人向けメモ

電気代の変化を把握する
マレーシアの電力会社TNBの請求書には附加費が別項目で記載されています。コンドミニアム住まいの場合は管理費に含まれていることも多いため、管理組合からのお知らせを確認してみましょう。

日本円換算での物価感覚を更新する
2026年6月30日時点のレートは1RM=39.8円。1年前より円安が進んでいる場合、マレーシアの物価がさらに「高く感じる」ことがあります。インフレ率2%×円安の複合効果が、日本人の生活費感覚に影響することを念頭に置いてください。

インフレが加速しても日本より低水準
それでも2%というインフレ率は、日本が2023〜2024年に経験した3〜4%より低い水準です。マレーシアが今後も「低インフレ・補助金縮小の段階的移行」を続けるかどうかが生活コストのカギになります。政府の補助金改革の動向を引き続きウォッチしておくと安心です。

電力附加費の対象になっているか確認を
一般的に月600kWh以下の家庭用消費は附加費の影響が小さいとされていますが、在宅ワーカーやエアコンをフル活用する方は使用量が増えがちです。TNBアプリやウェブポータルでここ数ヶ月の使用量を確認してみましょう。


マレーシアのインフレは今のところ「管理されたペース」での上昇です。ただし、電力補助金の段階的縮小が続く限り、この傾向はしばらく続く可能性があります。家計管理の上で、電力使用量の見直しと為替動向のチェックを習慣にしておくことをおすすめします。

写真: Mohd Jon Ramlan / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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