アルミニウムと聞いて、何を思い浮かべますか?ジュース缶?車のボンネット?実はアルミは「脱炭素社会」の主役素材の一つです。電気自動車・太陽光パネル・送電網の整備——これらすべてにアルミが欠かせません。
マレーシアを代表するアルミ製錬企業・齐力工業(チー・リー・インダストリアル)(Bursa コード: 8869、略称: PMETAL)が今、世界のアルミ市場の追い風に乗ろうとしています。マレーシア最大手のメイバンク投資銀行リサーチが2026年8月4日付で「買い(BUY)」を継続推奨した注目銘柄として、在マレーシアの日本人投資家にもぜひ知ってほしい企業です。
PMETALってどんな会社?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式社名 | Qi Li Industrial Bhd(齐力工業) |
| Bursa コード | 8869(メインボード・工業セクター) |
| 主な事業 | アルミニウム製錬・バリューアデッド製品(VAP)の製造 |
| 最大の強み | 再生可能エネルギー(水力発電)を使った低コスト製錬 |
日本でいえば、日本軽金属ホールディングス(UACJ) に近いポジションの企業ですが、PMETALが群を抜くのがそのコスト競争力です。サラワク州の豊富な水力発電を活用しているため、石炭火力に依存する他国の製錬所と比べて電力コストが大幅に低く、利益率が安定しています。「再エネ×アルミ製錬」という組み合わせは、SDGsが重視される現代の投資市場で特に高く評価されるポイントです。
アナリストの評価と株価目標
メイバンク投資銀行リサーチが発表した最新リポートによると:
| 指標 | 数値 | 日本円換算 |
|---|---|---|
| 2026年8月4日終値 | RM 8.06 | 約310円 |
| 目標株価 | RM 9.66 | 約371円 |
| 上昇余地 | 約19.85% | — |
| 2027年予想EPS | 35.8センン | — |
| 予想PER | 22.2倍 | — |
| 予想配当利回り | 1% | — |
| アナリスト推奨 | BUY(継続) | — |
※1RM=38.4円換算(2026年8月4日時点)
目標株価RM 9.66は現在値から約20%の上昇余地があることを示しています。日本株でいえば、PER 22倍は成長株として「やや割高感があるが、業績拡大が織り込まれている」水準です。
なぜ今、アルミが熱いのか
1. 中国が生産量を上限規制中
世界最大のアルミ生産国・中国は、環境規制により製錬能力の上限を4,550万トンに凍結しています。これにより世界的な供給が抑制され、アルミ価格の下支えになっています。日本の鉄鋼業界が中国の過剰生産に悩まされてきた構図と逆の流れが、アルミでは起きているのです。
2. 世界在庫が低水準で推移
ロンドン金属取引所(LME)のアルミ在庫は低水準。需給がタイトな状況が続いており、価格の急落リスクが小さいとみられています。
3. 電化・再エネで長期需要が拡大
EVのバッテリーケース、太陽光パネルのフレーム、送電網の電線——いずれもアルミが主要素材です。トヨタ・ホンダのEV拡大を含め、世界的な電化の波がアルミ需要を長期的に押し上げています。「脱炭素=アルミ需要増」という構図は、今後10〜20年続くとみられます。
2027年の成長エンジン:インドネシア工場の稼働
PMETALの中期的な業績拡大を左右するのが、インドネシア子会社 PT KAN の本格稼働(2027年予定)です。
この工場はアルミナ(アルミ製錬の原料)を自社製造するための設備。稼働後はPMETAL全体のアルミナ調達量のうち約40%を内製化できるようになります。
日本企業で例えるなら、トヨタが鉄板の一部を自社高炉で生産し始めるようなイメージです——原材料コストの変動リスクが大幅に圧縮され、業績見通しの安定性が高まります。アナリストがこの点を「利益の視認性(Earnings Visibility)が向上する」と評価しているのも、こうした理由からです。
日本人投資家向けメモ
マレーシア株(バーサ・マレーシア上場銘柄)への投資を検討する際のポイントをまとめます。
投資口座の開設方法
– マレーシア現地の証券会社(Maybank、Hong Leong Investment Bank、CIMB等)で口座開設可能
– 外国人(PR保持者・就労ビザ保持者)でも開設できる場合が多い
– 日本の証券会社でのマレーシア株取扱いは限定的(要確認)
為替リスクに注意
– 円→RM換算コストが発生。RM/円レートの変動が実質リターンに直結
– 2024年以降、マレーシアリンギットは対円で上昇傾向にある
税務の観点
– マレーシアでは株式のキャピタルゲイン課税なし(2024年時点)
– 一方、日本居住者は日本の確定申告が必要な場合あり。税理士に相談推奨
情報収集の入口
– Bursa Malaysia公式サイト(英語・マレー語)
– i3investor.com(英語の株式分析プラットフォーム、無料)
普段何気なく使っているアルミ缶やEVの車体が、こんな形でマレーシアの産業と繋がっているとは面白いですよね。PMETALは「再生可能エネルギー×資源産業」というマレーシアならではの組み合わせで、世界の脱炭素経済を底から支える企業です。在マレーシアの日本人にとって、投資を通じて「住んでいる国の産業」を理解する入口としても、知っておく価値がある銘柄ではないでしょうか。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。本記事は投資助言を目的とするものではありません。最新情報・投資判断は公式サイトおよび資格ある専門家にご確認ください。


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