「AIブーム」はマレーシアにも波及しています。知っていましたか?今、マレーシアの南部地域でデータセンターの大規模建設ラッシュが起きていることを。
245億円超の超高圧電力インフラ契約が成立
マレーシアの電力・エネルギーインフラ大手 MN控股(MN Holdings) の子会社 MN Power Transmission が、南マレーシアに建設予定の2つのデータセンター向け電力設備の施工・据え付け契約を締結しました。
契約総額は 2億4540万リンギット(約81億円)。日本円換算で80億円規模というのは、一般的な製造工場の建設費と同等レベルの大型案件です。
契約内訳
| 契約 | 金額(RM) | 日本円換算 | 対象施設 |
|---|---|---|---|
| サブ契約1 | 1億2500万RM | 約41億円 | データセンターA:275kV CLS設備 |
| サブ契約2 | 1億2000万RM | 約40億円 | データセンターB:275kV CLS設備 |
| 合計 | 2億4540万RM | 約81億円 | 南マレーシア2拠点 |
(1RM ≈ 33円換算)
「275kV CLS」って何?日本語で解説
契約内容に登場する 275kV CLS(独立ユーザー着地局 / Customer Landing Substation) は、超高圧送電線(275,000ボルト)から電力を受け取り、データセンター内で使える電圧に変換する変電設備のことです。
日本の送電網と比較すると:
| 項目 | 日本(一般的) | マレーシア(本案件) |
|---|---|---|
| 送電電圧 | 500kV / 275kV / 154kV | 275kV |
| 電力会社 | 東京電力 / 関西電力など | Tenaga National Berhad (TNB) |
| データセンター向け受電 | 特別高圧(66kV以上) | 275kV超高圧直接受電 |
大手データセンターが超高圧電力を直接引き込むのは、電力消費量が桁違いに大きいため。AIサーバーは電力の塊で、数万台規模の計算機が動き続けるためです。
なぜ今、南マレーシアなのか?
ジョホールバル(Johor Bahru)を中心とした南マレーシアは、ここ数年でアジア有数の データセンター集積地 に急浮上しています。その背景には:
- シンガポールの土地不足:隣国シンガポールは国土が限られ、電力・土地コストが高騰。企業はジョホール海峡を渡った対岸のジョホール州に移転しています
- マレーシア政府のデジタル経済政策:外資系データセンター誘致に積極的で、税制優遇もあります
- 豊富な電力インフラ:TNB(テナガ・ナショナル)が270kV超の高圧網を整備済み
- 光海底ケーブルの集積点:東南アジアの通信ハブとして、国際回線が多数接続
日本で言えば、東京・大阪のデータセンター需要を関西圏が吸収しているようなイメージに近いでしょうか。ただしマレーシアの場合は「国境を越えた移転」というスケールの大きさが特徴です。
MN Holdings の勢いはとまらない
同社はこの一ヶ月だけで、TNBからも6638万リンギット(約21.9億円)相当の太陽光発電・変電所拡張プロジェクトを受注しています。再生可能エネルギーとデータセンターという、マレーシアの2大成長分野を両取りしている状況です。
2026年初頭の受注サマリー(MN Holdings)
| 案件 | 金額(RM) | 発注元 | 分野 |
|---|---|---|---|
| データセンター電力設備(×2) | 2億4540万RM | 非公表 | データセンター |
| 太陽光・変電所拡張 | 6638万RM | TNB | 再エネ |
| 合計 | 約3.1億RM | — | — |
工期は2026年第1四半期〜第4四半期と設定されており、年内竣工を目指して急ピッチで進んでいます。
日本人が知っておくべきこと
マレーシア在住の方・移住検討中の方へ:
- ジョホール州のデータセンター建設ラッシュにより、インフラ系の 建設・電気工事・設備管理エンジニアの求人 が増加傾向にあります
- 日系IT企業やデータセンター運営会社のマレーシア進出も加速中。日本人エンジニアへの現地採用ニーズも高まっています
- 電力インフラの整備が進むことで、マレーシア国内の停電リスク軽減にも間接的に寄与します(現状でも日本と比べ停電はやや多め)
投資家・ビジネスマンへ:
- MN Holdings(マレーシア上場、KLSE: MN)はデータセンターとグリーンエネルギーという2大テーマを押さえた銘柄として注目されています
- ただし株式投資は自己責任でリスク管理を徹底してください
マレーシアの「デジタルインフラ革命」は静かに、しかし確実に進んでいます。南の大地が東南アジアのデジタルハブとして飛躍しようとしている今こそ、この国の経済動向をウォッチする価値があります。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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