老舗Nissanディーラーが赤字転落、その真相とは

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マレーシアで日産(Nissan)車を購入したことがある方なら、「Tan Chong(タン・チョン)」という名前に聞き覚えがあるかもしれません。

創業70年超を誇るマレーシアの老舗自動車販売グループ、TCHONGホールディングス(ブルサ証券:4405)が、2026年第1四半期(1〜3月)に純損失1,218万リンギット(約4億9,000万円)を記録したことが明らかになりました。

一見「大赤字!」と驚きますが、その内実をひも解くと、マレーシアのビジネス慣行や会計の特性がよく見えてきます。


Q1 2025 vs Q1 2026 決算比較

指標 Q1 2025 Q1 2026 変化
売上高 RM5億5,300万(約222億円) RM4億5,776万(約184億円) ▼17.2%
税引前損益 +RM456万(+約1億8,300万円)黒字 −RM829万(−約3億3,300万円)赤字 赤字転落
純損益 −RM1,218万(−約4億9,000万円)赤字

※1RM=40.2円(2026年6月1日時点)


「赤字の本当の理由」は昨年の特別利益が消えたから

実はこの赤字、単純な本業悪化ではありません。

昨年(Q1 2025)は投資用不動産の再評価益として約5,400万リンギット(約21億7,000万円)という一時的な特別利益が計上されていました。これは保有不動産の帳簿上の評価額が上昇したことによる利益で、現金が実際に動いたわけではない「含み益の確定」に近い性質のものです。

日本でいえば、企業が保有する土地の評価額が上がって含み益を計上した状態——ビジネスが好調だったというより、「去年が特別によかった」のです。

2026年はこの再評価益がゼロだった。それが最大の「赤字」の理由です。

一方で、資産売却益(約2,010万RM、約8億800万円)や為替差益の増加が損失を一部相殺しており、金利費用・減価償却費も減少しています。本業が崩壊したわけではありません。


売上17%減の背景——マレーシア自動車市場の「今」

売上高が前年比17.2%減となった背景には、マレーシア自動車市場の構造変化があります。

近年、中国系ブランド(Chery、Omoda、BYD など)がコスパの高いSUVで急速にシェアを拡大。日産は信頼性や整備ネットワークの強みを持ちながらも、価格競争とEV化の波への対応が問われています。

日本でも「老舗国内ブランドが輸入SUVに顧客を奪われる」という構図が起きていますが、マレーシアでもまさに同様の展開が進んでいます。


TCHONGってどんな会社?

項目 内容
正式名称 Tan Chong Motor Holdings Berhad
証券コード 4405(ブルサ・マレーシア)
主力ブランド 日産(Nissan)、インフィニティ(Infiniti)
ネットワーク 半島マレーシア全土のディーラー・サービス網
創業 1950年代(70年超の老舗)

マレーシアで日産車を購入・車検・修理する際には、多くの場合このTan Chong系ディーラーを利用することになります。


日本人が知っておくべきこと

車を買う・修理する立場から見ると、直接的な影響は今のところ限定的です。ただし、以下の点は頭の片隅に置いておくと役立ちます。

  • 値引き交渉の余地が広がる可能性:業績が厳しいディーラーは月次・四半期の販売目標達成のため、値引き幅が広がりやすい傾向があります
  • 下取り価格も注意:市場全体が軟調なときは中古車の下取り評価額も低めになりがち。売るなら市況が戻ったタイミングを狙うのも手
  • アフターサービスの継続性:大手グループなのでサービス品質が急変する可能性は低いが、担当ディーラーの動向は定期的に確認を
  • EV対応の今後:Nissan Ariya等のEVラインアップをマレーシアに展開するかが、TCHONGの次の試金石になります

マレーシアの自動車市場は今、大きな転換点にあります。老舗ブランドがどう巻き返すのか、車購入を検討している日本人在住者にとっても、見逃せない動向ですね。

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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