「金(ゴールド)は安全資産」——そう思っている方も多いのではないでしょうか?ところが2026年3月23日、国際金価格が1トロイオンスあたり4,099.17ドル(RM16,151 / 約53.3万円)まで急落し、正式に「熊市(ベアマーケット)」入りを果たしました。2026年1月の史上最高値からは実に25%もの大幅下落です。
マレーシア在住の日本人にとって、これは他人事ではありません。マレーシアはショッピングモールのあちこちに金細工店が並ぶほど金文化が根付いた国。この急落が何を意味し、どう行動すべきかを解説します。
今回の急落、数字で整理する
| 指標 | USD | RM | 日本円換算(1RM≈33円) |
|---|---|---|---|
| 2026年1月 史上最高値 | $5,417/oz | RM 21,344 | 約70.4万円/oz |
| 現在のスポット価格(3/23) | $4,099/oz | RM 16,151 | 約53.3万円/oz |
| 4月先物価格 | $4,205/oz | RM 16,568 | 約54.7万円/oz |
| 2024年末の水準 | $4,319/oz | RM 17,023 | 約56.2万円/oz |
今回の下落が「歴史的」と言われる理由:
- 9営業日連続の下落(ブレーキが効かない)
- 1日で8.75%という単日最大規模の急落
- 先週1週間で11%下落——これは1983年以来最大の週次下落幅
- ピークから25%超の下落で「熊市(ベアマーケット)」の定義に到達
「熊市」ってそもそも何?
「熊市」とは中国語圏の金融用語で、英語の「Bear Market(ベアマーケット)」を指します。一般的に高値から20%以上の下落が続く状態が「熊市入り」の条件です。
日本でいえば「弱気相場」。2008年のリーマンショックや2020年のコロナショック時に株式市場で起きたような、相場全体が暗い下落トレンドに突入した状態です。
金市場と株市場の性質の違いをまとめると:
| 比較項目 | 株式市場 | 金市場 |
|---|---|---|
| 価値の裏付け | 企業の収益・成長 | 希少性・需給バランス |
| 金利との関係 | 上昇で下がりやすい | 上昇で下がりやすい |
| 「安全資産」役割 | 小さい | 大きい(危機時に買われる) |
| 配当・利子 | あり | なし |
金は「利子を生まない資産」のため、金利が高止まりする局面では投資家が金より利付き資産を好みやすく、金価格が下がる構図になります。
なぜ急落?中東情勢と金利の逆説的な関係
今回の急落の背景には、中東情勢の悪化によるエネルギー価格上昇があります。一見「地政学リスク上昇=金買い」のはずが、今回は逆の連鎖が起きました:
- 中東紛争激化 → 原油・エネルギー価格が上昇
- エネルギー高 → インフレ再燃の懸念
- インフレ懸念 → 中央銀行が利下げしにくくなる
- 高金利継続観測 → 金より利付き資産が魅力的に
- 金から資金が流出 → 金価格急落
これは日本でも似た構図で語られることがあります。日銀の利上げ観測が高まると円高・株安になる、あのメカニズムと同様に「金利と資産価格の逆相関」が働いているわけです。
マレーシアの金文化と今回の影響
マレーシアでは中華系を中心に、旧正月や結婚式の贈り物として金のアクセサリーを贈る文化が根付いています。日本のおせち料理が正月の「縁起物」であるように、マレーシアでは金のジュエリーが「富と繁栄の象徴」として特別な意味を持ちます。
KLCC周辺やチャイナタウン(ペタリン通り / Petaling Street)には金細工店が軒を連ね、Public Gold、UOB Gold、Maybank Gold Investment Accountなどの金融商品も充実。これは日本の田中貴金属工業や三菱マテリアルが提供する「純金積み立て」サービスに相当するものです。
日本人が知っておくべきこと
金ジュエリー購入を検討している方へ
婚約指輪や記念品として金細工を考えている方には、ピーク比25%安という今の水準は相対的な割安感があります。ただし「まだ底が見えない」状況であることも事実。焦らず相場を見極めましょう。
Gold Investment Accountを持っている方へ
Maybank・Public Bank・RHBなどのゴールド口座保有者は要注意。9営業日連続下落中の「落ちるナイフを掴む」リスクを十分に理解した上で判断を。追加購入は慎重に。
日本へのお土産に金製品を検討している方へ
マレーシアの金細工は日本より安く手に入ることが多いですが、日本への持ち込み時の税関申告(20万円超は申告必要)を忘れずに。
「底打ち」を狙うのはプロでも難しい
「もっと下がるかも」という心理と「今が底かも」という期待が交錯する局面。個人投資家は相場の落ち着きを確認してから動くのが賢明です。
まとめ:歴史的な急落、冷静に見極めを
1983年以来最大の週次下落幅、9日連続の下落、1月の史上最高値から25%超の後退——今回の金市場の動きは歴史的と言っても過言ではありません。
金は配当も利子も生まない資産です。長期視点で「分散投資の一部」として少量保有するなら意味はありますが、短期の値上がり期待での購入は慎重に。特にマレーシアという物価の安い環境で生活している日本人にとって、焦らず相場の安定を確認してから行動することがリスクを抑えた選択になります。
写真: Infrarate.com / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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