外国人給与が全国電子化!マレーシアのフィンテック最前線

マネー・生活費

マレーシアで外国人労働者を雇用している方、あるいはマレーシアのフィンテック事情に興味がある方、ちょっと注目の動きがあります。2026年8月1日より、Merchantrade Asiaがサラワク州でも外国人労働者への電子給与支払いサービスを正式開始しました。これにより、半島部・サバ州・サラワク州を含むマレーシア全土での電子給与化がついに完成したのです。

Merchantradeって何?まず基本から

Merchantrade Asiaは、マレーシアを代表するフィンテック企業のひとつ。外国人労働者向けの金融サービスを専門とし、電子ウォレット「Merchantrade Money」を通じて、給与支払い・海外送金・キャッシュレス決済などをワンストップで提供しています。

日本で言うと、給与振込に使われるメガバンクの役割と、PayPayのような電子マネーの機能が合体したようなサービス、とイメージしてもらうと近いかもしれません。しかもRM1(約38.8円)/月から加入できるマイクロ保険まで提供しています。

今回の「サラワク認可」の意味

サラワク州労働局(Jabatan Buruh Sarawak)から正式な許可を受け、2026年8月1日から3年間の認可が下りました。これにより、Merchantradeは以下の全地域をカバーする、マレーシア唯一の電子給与支払いプラットフォームになりました。

カバーエリア 認可状況
半島マレーシア(Peninsular Malaysia) 認可済み
サバ州(Sabah) 認可済み
サラワク州(Sarawak) 2026年8月1日〜 ✅

現在、3,000社以上の雇用主と40社の上場企業が利用中。マレーシア全体の外国人労働者のうち約45%へのサービス提供を目指しています。

提供サービスの全体像

サービス 内容 日本での近い例
電子給与支払い DuitNow・Merchantrade Money e-walletで振込 銀行振込
24時間国際送金 スマホで本国への仕送りが完結 Wise・ウエスタンユニオン
キャッシュレス決済 日常の買い物・ATM引き出し PayPay・Suica
社会保険給付金 SOCSO(マレーシア社会保障機構)の給付支払い 雇用保険の給付
マイクロ保険 RM1(約38.8円)/月〜加入可能 100円保険のようなもの

サラワクの「辺地問題」が解消へ

サラワク州は日本の4分の1ほどの広大な面積を持ち、ミリ(Miri)やビントゥル(Bintulu)といった遠隔地では、給与日に労働者が現金を受け取るためだけに何時間もかけて移動するケースがありました。

日本で例えるなら、青森の農村地帯で出稼ぎ労働者が給与日に県庁所在地まで現金を受け取りに行くようなイメージ、と言えばわかりやすいでしょうか。電子化によってこの問題が解消され、交通費が最大6%削減できるとされています。雇用主・労働者双方にとって時間とコストの節約になります。

クチン(Kuching)には新たな地域オペレーションセンターも設立され、サラワク州でのサービス体制が整いました。

日本との制度比較:外国人労働者の給与管理

比較項目 マレーシア 日本
電子給与化の義務 政府主導で推進中 2023年から電子マネー払い解禁、普及はこれから
主な給与受取手段 銀行口座 or 電子ウォレット 銀行口座が主流
国際送金のしやすさ 専用アプリで24時間対応 銀行窓口・手数料高め
最低賃金 RM1,700(約65,960円)/月(2025年〜) 時給制・地域別最低賃金

日本は2023年に電子マネーによる賃金支払いが解禁されましたが、まだ普及途上。一方マレーシアは外国人労働者の保護・管理の観点から、政府が積極的に電子化を推進している点が興味深いです。

日本人向けメモ

外国人家事労働者(メイドさん)を雇用している方へ
マレーシアで合法的に外国人家事労働者を雇用している日本人家庭の場合、Merchantrade Moneyを活用することで、銀行口座を持たない労働者への給与支払いも電子化できる可能性があります。まずは雇用代理店に相談してみましょう。

経営者・管理職の方へ
Merchantrade Moneyの雇用主向けポータルは英語対応しているため、日本人経営者でも比較的利用しやすい設計です。DuitNow(マレーシアの銀行間即時振込システム)経由での給与支払いも可能です。

マレーシアの外国人労働者の規模感
マレーシアには200万人以上の外国人労働者が就労しています(うち登録済みは約130万人)。製造業・農園・建設・家事分野を陰から支える存在で、かつては現金給与が主流でした。不正・搾取リスクから、政府主導で電子化が推進されています。

まとめ

Merchantradeのサラワク州認可は、マレーシアの金融インクルージョン(Financial Inclusion:すべての人が基本的な金融サービスを利用できる社会)を大きく前進させる出来事です。スマートフォン1台で給与受取・海外送金・保険加入ができる時代が、マレーシアの最果てサラワクにも広がりつつあります。

日本では「キャッシュレス化」がよく話題になりますが、マレーシアはフィンテックの社会実装という点で着実に進んでいますね。在住日本人としても、この国のデジタル化の速さを改めて感じる話題ではないでしょうか。

写真: Grab / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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