マレーシアで「農業廃棄物を資源に変える」というビジネスに取り組む上場企業があるのをご存じですか?
今回ご紹介するのは、クアラルンプール証券取引所(Bursa Malaysia)メインボードに上場する緑源環球(Green Source Global、銘柄コード:7241 / NGGB)です。パーム油生産の際に出る廃棄物「EFB(空果房)」を有用な製品へ変換する循環経済モデルで注目を集めていますが、2026年8月現在、アナリストによる大幅な業績下方修正が発表されました。
緑源環球ってどんな会社?
EFB(空果房)とは何か
EFBとは「Empty Fruit Bunch(エンプティ・フルーツ・バンチ)」の略で、パーム油を搾り終えたあとに残る繊維状の廃棄物です。マレーシアは世界第2位のパーム油生産国であり、毎年膨大な量のEFBが発生しています。
緑源環球はこのEFBを単なるゴミとして扱わず、パルプ(製紙原料)・動物飼料・その他素材へ変換することで収益を上げるビジネスを展開しています。
日本でいえば、製紙大手の王子ホールディングスや日本製紙が廃材・古紙を再利用するリサイクルモデルに近いイメージです。ただし、使う原料が「木材」ではなく「農業廃棄物」という点が大きな特徴。ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点からも、持続可能なサプライチェーンを求める投資家に注目されている企業です。
最新アナリスト評価(2026年8月10日時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄コード | 7241(NGGB) |
| セクター | メインボード・工業 |
| 現在株価 | 71.5セン(約27.6円) |
| 目標株価(修正後) | 75セン(約29.0円) |
| 旧目標株価 | 85セン(約32.8円) |
| レーティング | 保有(Hold) |
| 評価機関 | Galaxy International Securities |
| 2026年EPS予測 | 4.5セン |
| 2026年PER | 16.3倍 |
※為替レート:1RM=38.6円(2026年8月10日時点)
なぜ業績予測が大幅に下がったのか?
今回の修正の主因は、2つの主力工場の進捗遅延です。
工場1:動物飼料工場(年産1万トン)
稼働が当初予定から遅れ、2026年10〜11月見込みに後ずれしました。これにより9,000万RM(約34.7億円)分の売上計上が先送りされる形となり、年間利益に直撃しています。
工場2:NeuWhiteパルプ工場(年産15万トン)
大型プロジェクトですが、本格的な収益貢献は2028年以降になる見込み。今期・来期への寄与はほぼゼロです。
利益予測の変化まとめ
| 年度 | 旧予測(RM) | 新予測(RM) | 日本円換算(新予測) | 変化率 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年コア純利益 | 約RM8,400万 | RM5,200万 | 約20.1億円 | ▲38% |
| 2027年コア純利益 | 約RM1億400万 | RM7,300万 | 約28.2億円 | ▲30% |
※為替レート:1RM=38.6円(2026年8月10日時点)
それでも「Hold(保有継続)」の理由
アナリストが「売り」ではなく「保有継続」を推奨する背景には、長期的なビジネスモデルへの期待があります。
- EFBパルプ生産能力の拡大:2026年末までに年産1万5,000トンへ増強予定。本格的な収益効果は2027年度から反映される見込み
- 上場企業の中での希少性:パーム農業廃棄物を主原料とする企業はBursa Malaysia内でも珍しく、ESG投資の観点から差別化されたポジションにある
- バリュエーション維持:P/E 11.8倍を基準とした評価は維持されており、現在の株価水準には一定の割安感も
投資を考える前に知っておくべきリスク
| リスク項目 | 内容 |
|---|---|
| 高い設備投資負担 | 大型工場への積極投資で負債水準が高めに推移 |
| 株式希薄化リスク | 資金調達目的の増資により既存株主の持分が薄まる可能性 |
| 工場稼働の不確実性 | 遅延が続いており、今後のスケジュール通り稼働が大前提 |
| パーム油市況への依存 | 原料EFBの供給量はパーム油生産量と連動 |
日本人投資家向けメモ
Bursa Malaysiaへの投資方法について
マレーシアの個別株は、日本のSBI証券・楽天証券などの外国株取扱いサービスでは対応していないケースがほとんどです。現地投資を検討するなら、マレーシア国内の証券会社(Maybank Investment Bank、CGS-CIMB Securitiesなど)での口座開設が現実的な選択肢になります。
NGGBのような「パーム廃棄物リサイクル×ESG」テーマの企業は、2030年に向けたマレーシアの脱炭素政策とも方向性が一致しており、中長期視点での復活シナリオは十分にあり得ます。短期的な業績修正に振り回されず、2027〜2028年にかけての生産能力フル稼働時の姿を見据えた投資判断が求められる銘柄と言えるでしょう。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。株価・業績予測は変更される場合があります。投資判断は最新情報および専門家への相談のうえ自己責任で行ってください。


コメント