マレーシアのショッピングモールを歩いていると、金のアクセサリーがびっしり並ぶ宝飾店をよく目にしますよね。日本では貴金属ショップはそれほど多くないですが、マレーシア——特に中華系コミュニティ——では、金(ゴールド)は単なるアクセサリーではなく、資産運用の手段でもあります。
その象徴的な存在がTOMEI(多美次 / トメイ)。マレーシアを代表する上場宝飾・金地金会社です。2026年第2四半期(4〜6月)の決算が発表され、売上高が前年同期比9.6%増のRM3億4,061万(約133.9億円)に達したことが明らかになりました。
TOEIの業績:金価格高騰が追い風
| 指標 | Q2 FY2026 | 前年同期比 | 日本円換算(1RM≒39.3円) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | RM3億4,061万 | +9.6% | 約133.9億円 |
| 純利益 | RM2,258万 | -10.2% | 約8.9億円 |
| 純利益率 | 6.63% | — | — |
| 小売部門 | RM2億6,479万 | +7.9% | 約104.1億円 |
| 製造・卸部門 | RM7,681万 | +14.6% | 約30.2億円 |
上半期(1〜6月)累計では、売上高が前年同期比37.2%増のRM9億380万(約355.2億円)、純利益も40.9%増のRM7,464万(約29.3億円)と絶好調です。
ただし、Q2単体では前四半期(Q1)比で売上が39.5%も落ちています。これはマレーシア独特の季節性で、「ハリラヤ(イスラム断食明け祭)」や「旧正月(春節)」という大型祝祭の需要がQ1に集中し、Q2はその反動が出るためです。日本でいえば、年末年始のギフト・帰省需要が1月に偏るようなイメージです。
なぜマレーシアの中華系は金が好きなのか
マレーシアの中華系コミュニティにとって、金には文化的に深い意味があります。日本で「タンス預金」という言葉があるように、「金は裏切らない」という価値観が根付いているのです。
- 縁起物として: 旧正月の贈り物に、チョコレートではなく本物の金の延べ棒や金貨を贈ることがある
- 嫁入り道具として: 結婚式で花嫁が全身に金のアクセサリーをつける伝統(日本の「嫁入り道具」に相当)
- 資産保全として: リンギット(マレーシア通貨)の価値変動に対するヘッジとして現物金を保有
- 贈答文化として: 誕生日や記念日のプレゼントに純金ネックレスや金貨が普通に使われる
特に旧正月前後は需要が急増し、TOEMEのようなチェーンでは在庫確保が課題になるほどです。
世界の金価格高騰がマレーシアにも直撃
2025〜2026年にかけて、世界的な金価格の上昇が続いています。中東情勢の不安定化、米ドル安、中国・インド中央銀行の大規模金購入などが価格を押し上げており、TOEMEの小売部門の増収もこの流れを直接反映しています。
一方で、純利益が前年比10.2%減少しているのは、仕入れコスト(金の調達価格)も同時に上昇しているためです。「売上は増えたが、材料費も高くなった」——飲食業や製造業と同じ構図ですね。
日本とマレーシアの金投資:何が違う?
| 項目 | 日本の金投資 | マレーシアの金投資 |
|---|---|---|
| 主な手段 | 純金積み立て(田中貴金属等) | 宝飾店での現物購入 |
| 流動性 | 高い(換金しやすい) | 中程度(店舗に持ち込み) |
| 保管 | 預かりサービスあり | 自宅保管が多い |
| 購入ハードル | 月1,000円〜 | 数グラム単位から |
| 税制 | 消費税10%(購入時) | 地金・コインは非課税 |
| 文化的位置づけ | 主に投資・相続 | 投資+文化的贈答品 |
日本人が知っておくべきこと
マレーシアでは純金(999.9)の地金・コインはGST(物品サービス税)が非課税です。これは日本と大きく異なる点で、10%の消費税なしで購入できます(加工ジュエリーは課税対象)。
主な購入場所:
– TOMEI(多美次) — KLCC(クアラルンプールシティセンター)、ミッドバレー、サンウェイピラミッドなどの主要モールに出店。英語対応可能
– Public Gold(公共金行) — 小さな延べ棒から購入でき、初心者向け
– AEON・Jaya Grocer周辺の金専門コーナー — 日常の買い物ついでに立ち寄れる
注意点:
– 購入時は必ずレシートを保管(売却・帰国時の証明に)
– 日本への持ち帰りは一定額以上で税関申告が必要
– TOEMEでは中国語・マレー語が基本ですが、英語でも問題なく対応してもらえます
今後の見通し:中東情勢が鍵
TOMEIの経営陣は「中東情勢が市場見通しに影響を与えるため、慎重な姿勢を維持する」とコメントしています。金価格は地政学的リスクが高まると上昇する傾向がある一方、情勢が落ち着けば下落するリスクもあります。それでも、FY2026通期での収益維持は見込まれており、マレーシアの金市場の底堅さがうかがえます。
金に興味があるなら、まずはモールのTOMEIやPublic Goldのショールームを覗いてみてはいかがでしょうか。店員さんにグラム単価から丁寧に教えてもらえますし、「とりあえず1グラム」から始める在住日本人も少なくありませんよ。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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