マレーシアに住んでいると、スーパーでよく「パーム油」という言葉を目にしませんか?日本でもカップラーメンや菓子類の原材料として使われているパーム油は、マレーシアの主要輸出品の一つ。その生産を担う大手農園会社のひとつが「KLK(Kuala Lumpur Kepong Berhad、クアラルンプール・ケポン)」です。
2026年5月に発表された第2四半期決算では、純利益が前年同期比90.6%増という驚異的な数字を記録しました。ただし中身を見ると、本業のパーム油事業は苦戦中という複雑な構図が浮かび上がります。
KLKってどんな会社?
KLKは1906年設立の老舗農業・製造コングロマリット(複合企業)です。日本でいえば「農業版の三菱商事」のような存在。パーム油農園を核に、不動産・製造(オレオケミカル)など多角的な事業を展開し、ブルサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)にコード「2445」で上場しています。
| 事業部門 | 内容 | 日本の類似例 |
|---|---|---|
| 農園部門 | パーム油・ゴム農園の経営 | 農業法人 |
| 不動産部門 | 土地開発・住宅販売 | 住友不動産 |
| 製造部門 | 洗剤・化粧品原料のオレオケミカル製造 | 花王の原材料工場 |
今回の決算ハイライト
第2四半期(2026年1〜3月期)
| 指標 | 今期 | 日本円換算(1RM=40.2円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 純利益 | RM2億9,405万 | 約118億円 | +90.6% |
| 売上高 | RM65億4,964万 | 約2,633億円 | +3.3% |
上半期(2025年10月〜2026年3月)累計
| 指標 | 累計 | 日本円換算 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 純利益 | RM6億7,646万 | 約272億円 | +80.5% |
| 売上高 | RM128億9,793万 | 約5,185億円 | +5.0% |
※1RM = 40.2円(2026年5月31日時点)
純利益急増の「真の理由」:土地と航空機の売却益
純利益が約91%も急増した最大の要因は、本業のパーム油ではなく、土地と航空機の売却でした。
- 土地売却益:RM1億2,630万(約50.8億円)
- 航空機売却益:RM730万(約2.9億円)
これは日本企業の決算で言う「特別利益」に相当します。保有していた土地や機材を売ることで一時的に利益を計上したものであり、来期も同じ水準が続くとは考えにくい点に注意が必要です。
農園部門は不振——パーム油価格低迷が影を落とす
KLKの本業である農園部門は利益が21.1%減少しました。原因はCPO(原油パーム油)の価格低迷です。パーム油は国際商品市場で取引されており、大豆油やひまわり油との競争激化、世界需要の変動が価格を押し下げています。
| 部門 | 今期の状況 |
|---|---|
| 農園部門 | 利益 21.1%減(CPO価格低迷) |
| 不動産部門 | 利益 47%減 |
| 製造部門 | 赤字転落 |
土地売却という「一発大きな収益」で全体の純利益を押し上げた形であり、事業の実態は厳しい局面が続いています。
配当情報:7月に20セン支払い
今回の決算発表と同時に、KLKは1株あたり20セン(約8.04円)の配当を発表しました。親会社のBKAWAN(バトゥ・カワン)も同時に決算を発表しています。
| 銘柄 | 配当額 | 日本円換算 | 権利落ち日 | 支払い日 |
|---|---|---|---|---|
| KLK(2445) | 20セン | 約8.04円 | 2026年7月9日 | 2026年7月28日 |
| BKAWAN(2852) | 0.2セン | 約0.08円 | 2026年7月9日 | 2026年7月30日 |
7月9日が権利落ち日のため、配当を受け取るには7月8日(火)までに株を保有している必要があります。
日本人投資家向けメモ
マレーシア在住の日本人の中には、ブルサ・マレーシアで資産運用をされている方も増えています。KLKのような農園大手株への投資を検討する際に押さえておくべきポイントをまとめます。
今回の決算で注意すべき点:
– 純利益急増の主因は土地売却という一時要因であり、本業の回復ではない
– パーム油価格は国際商品市況に左右されるため、今後の動向を継続的に確認する必要がある
– 農園・不動産・製造の全3部門がいずれも苦戦しており、事業の実質的な改善はまだ先
ブルサ・マレーシアで投資するには:
Maybank Investment Bank、CIMB Securities、Kenanga などの証券会社でオンライン口座を開設できます。外国人でも開設可能ですが、パスポートやビザ情報が必要です。日本の証券会社ではブルサ・マレーシアへの直接投資はできない点も覚えておきましょう。
パーム油関連株は配当利回りが比較的高い傾向がありますが、商品市況の影響を大きく受ける業種です。日本株の食品・農業関連株への投資と同じように、長期目線での分析が重要です。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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