マレーシアを拠点とするLCC(格安航空会社)、エアアジアX(AirAsia X、証券コード:5238)が2026年1〜3月期(Q1)の決算を発表しました。結果は純損失1億5,488万リンギット(約62億円)。「格安チケット」の代名詞とも言えるエアアジアに何が起きているのでしょうか?在マレーシアの日本人や、KL発着の航空券を検討している方にとって気になるニュースです。
2つの逆風:為替と原油
① 為替損失——タイバーツ・ルピア・ペソが急落
今期の赤字の最大要因は為替差損です。タイバーツ、インドネシアルピア、フィリピンペソが対米ドルで大幅に下落したことにより、2億3,220万リンギット(約93億円)もの為替損失が発生しました。
エアアジアXは東南アジア各国に拠点を構え、各国通貨で収益を得ています。ところが、燃料費などの主要コストは米ドル建てが多く、ドル高になると実質的なコストが膨らむ仕組みです。ちょうど日本企業が「円安で原材料費が高騰する」と頭を抱えるのと、まったく同じ構造です。
② 燃料費高騰——バレル200ドル超えの衝撃
もう一つの逆風が原油価格の急騰です。この期間、原油価格がバレル200ドル(約785リンギット/約3万1,500円)を突破し、約2億リンギット(約80億円)の追加燃料コストが発生しました。
ここで注目したいのが、マレーシア独自の週次燃料価格調整メカニズムです。日本でも「燃油サーチャージ」が毎月変動しますが、マレーシアは週単位で価格を見直す仕組みがあります。一方、タイやインドネシアなど周辺国は月次調整で「タイムラグ」があるため、Q2(4〜6月期)以降に周辺市場でも影響が本格化すると見られています。
財務ハイライト(2026年Q1)
| 項目 | 金額(RM) | 日本円換算(約) |
|---|---|---|
| 売上高 | 5億9,502万 RM | 約239億円 |
| 為替差損 | △2億3,220万 RM | △約93億円 |
| 追加燃料コスト | △約2億 RM | △約80億円 |
| 純損失(最終) | △1億5,488万 RM | △約62億円 |
| 営業利益(非経常除く) | 1億9,860万 RM | 約80億円 |
※ 1RM ≈ 40.1円(2026年5月14日時点)
ひとつ見逃せないのが、最終行の「本業ベースの営業利益:1億9,860万RM(約80億円)の黒字」です。これは航空機の減価償却費やファイナンスコストなど非経常的な項目を除いた数字で、飛行機を飛ばす本業自体は黒字を確保していることを意味します。赤字の主因はあくまで為替と原油という外部要因であり、事業の構造的な問題ではない点は注目に値します。
機材不足も響く
今期は全機材の約15%が運航停止(グラウンディング)状態にありました。機材が足りなければ座席供給が減り、収益機会を逃すことになります。整備・点検やリース交渉が絡んでいるとみられており、正常化が収益回復のカギを握ります。
日本人が知っておくべきこと
エアアジアXはKL(クアラルンプール)〜成田・羽田・関西・中部など日本の主要空港を結ぶ長距離路線を運航しており、日本人旅行者・在住者にとって身近な存在です。今回の決算がもたらす影響を整理します。
| 項目 | 現状 | 日本人への影響 |
|---|---|---|
| 航空券価格 | 燃油サーチャージ上乗せの可能性 | KL発日本行きが値上がりかも |
| 路線維持 | 本業黒字のため急な廃止リスクは低い | 当面は直行便が続く見込み |
| Q2以降 | 原油高の影響が周辺市場でも顕在化 | 東南アジア各国発着の運賃にも波及 |
本業が黒字という点は安心材料ですが、燃油サーチャージの引き上げや格安セールの頻度が減る可能性は否定できません。KLから日本への帰省・旅行を検討している方は、早めに航空券を押さえておくことをおすすめします。
今後の見通し
原油価格がバレル200ドル超の高止まりを続ければ、Q2以降も厳しい局面が続く見込みです。ただし、エアアジアXの経営陣が強調するように、本業の競争力自体は維持されています。
マレーシアと日本を行き来するフライトの価格動向、Q2以降の決算発表に引き続き注目です。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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