廃墟アパートで中学生死亡、業者が6千万円分を無償解体申し出

生活・文化

マレーシアで生活していると、かつては賑わっていたのに今は無人となった廃墟を見かけることがあります。日本でも「空き家問題」が社会課題として取り上げられていますが、マレーシアでは大型の廃墟アパートが地域の安全に深刻な影を落としています。

2026年7月24日、その危険性があらためて明らかになる出来事がありました。ペラ州(Perak)のスンガイ・パリ廃墟アパート(Sungai Pari Flats)で、14歳の女子中学生2人の遺体が発見されたのです。

なぜ廃墟アパートが危険なのか

廃墟となった建物は、不法侵入・落書きにとどまらず、危険な行為の温床になりやすい場所です。照明がなく、監視カメラもなく、人の往来もない——「見えない場所」が事件の舞台になることがあります。

スンガイ・パリのアパートは長年にわたって放置されており、地域住民や業者団体から解体を求める声が繰り返し上がっていました。しかし行政の動きは遅く、今回の悲劇を防ぐことはできませんでした。

インド系業者協会が「6,015万円分を無償で」と申し出

今回の事件を受け、ペラ州インド系業者協会(Perak Indian Traders Association)が異例の申し出を行いました。推定RM150万(約6,015万円、1RM=40.1円・2026年7月28日時点)かかる解体作業を、政府負担ゼロで実施するというものです。

同協会はすでに2023年・2024年の2度にわたってペラ州政府に解体提案を提出していましたが、いずれも実現しませんでした。今回の悲劇を機に、改めて強く申し出ています。

解体作業の内容と費用感

作業 詳細
構造物解体 建物本体の取り壊し
廃材除去 がれき・廃材の搬出
廃棄物粉砕 廃材の破砕・減量化
整地 跡地の平坦化・安全化

合計費用: RM150万(約6,015万円)→ 協会が全額負担

協会の会員企業がそれぞれの専門技術を持ち寄ることで、費用を無償で提供できると説明しています。これはCSR(企業の社会的責任)活動の一環です。

日本との比較——空き家問題への対処の違い

日本でも「空き家問題」は深刻で、2023年時点で全国に約900万戸の空き家があるとされています。しかし問題の性質と対応方法が異なります。

日本 マレーシア
主な法整備 空き家対策特別措置法(2014年) 各州の土地利用法(整備不足)
行政の対応 「特定空き家」指定で解体命令が可能 手続きが複雑で遅いことが多い
民間の役割 不動産業者・自治会が中心 業者協会・コミュニティが率先
問題の形態 戸建て空き家が中心 大型フラット丸ごと放置のケースも

日本でいえば、地元商工会議所が「費用は我々が出す、行政は早く決断してほしい」と申し出るようなイメージです。マレーシアのインド系コミュニティでは業者協会を通じた集団的な社会貢献活動が文化的に根付いており、行政を動かす力になっています。

日本人向けメモ

マレーシアで生活する日本人に、廃墟・廃棄建物に関して知っておいてほしいことをまとめます。

  • 廃墟・廃棄建物には絶対に近づかない: 不法侵入は警察の取り締まり対象で、建物倒壊の危険もある
  • 子どもへの安全教育が重要: 廃墟が危険な場所であることを明確に伝えておく
  • 地域の安全情報はFacebook市民グループが早い: マレーシアでは地域コミュニティの情報共有はFacebook経由が主流
  • 近隣に廃墟がある場合は地方自治体(PBT)に確認を: 解体予定の有無や危険指定の状況を問い合わせると安心

今回の事件が、長年放置されてきた廃墟アパートの早期解体につながることを願うばかりです。

写真: Yaopey Yong / Unsplash

出典: Varnam の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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