マレーシアに住んでいると「Bank Rakyat(バンク・ラクヤット、人民銀行)」の看板をよく目にしますよね。街角にATMがあり、支店もあちこちにあるこの銀行、実はマレーシア最大のイスラム系協同組合銀行です。
2026年4月、この人民銀行が2025年度決算を発表し、過去10年間で最高となる18%配当を78万人以上の組合員に分配することが明らかになりました。総配当額はRM5億3,470万(約214億9,000万円)という規模感です。
人民銀行(Bank Rakyat)とはどんな銀行?
日本でいえば「農協(JA)の金融部門」や「信用組合」に近い存在です。一般の株式銀行と異なり、組合員が出資して共同で運営する協同組合形式で、利益が出れば組合員に配当として還元されます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 1954年 |
| 種別 | イスラム系協同組合銀行 |
| 組合員数 | 78万人以上 |
| 総資産 | RM1,310億(約5兆2,662億円) |
| 特徴 | 利子不可・利益配分方式(イスラム金融) |
2025年度の業績ハイライト
過去最高を次々と更新した2025年度の決算をまとめました。
| 指標 | 2025年度 | 前年比 |
|---|---|---|
| 税引前・ザカート前利益 | RM19億(約763億円) | +4.2% |
| 総配当支払額 | RM5億3,470万(約214億9,000万円) | 過去10年最高 |
| 総資産 | RM1,310億(約5兆2,662億円) | +6.6% |
| 融資残高(グロス) | RM933億(約3兆7,507億円) | +8.6% |
| CASAIA残高 | RM124億(約4,985億円) | +15.2% |
| 不良融資比率 | 1.8% | 改善(前年1.9%) |
融資の伸び率8.6%は業界平均を上回り、不良融資比率も1.9%→1.8%に改善。どの数字を見ても好調さが際立っています。
18%配当とは?日本の預金金利と比べると
日本の銀行の普通預金金利は現在でも年0.1〜0.2%前後。定期預金でも0.3〜0.5%程度がせいぜいです。18%という数字は桁が違いますが、前提が少し異なります。
人民銀行の「配当」は株式の配当に近いものです。組合員として出資した金額に対して、銀行の利益から分配が行われます。元本保証ではなく業績によって変動するため、日本の「預金金利」とは性格が異なります。それでも過去10年の最高を更新したという事実は、78万人の組合員にとって大きなニュースでしょう。
イスラム金融の仕組み ── 「利子なし」の銀行
イスラム金融では「リバー(Riba)」と呼ばれる利子の受け取り・支払いが禁止されています。日本人には馴染みが薄い仕組みですが、マレーシアではごく一般的です。
| 一般銀行 | イスラム銀行 | |
|---|---|---|
| 収益源 | 利子 | 利益分配(ムダーラバ) |
| ローンの形式 | 元本+利息 | 売買・リース契約で差益 |
| 組合員制度 | なし | あり(協同組合型) |
| 主な例 | Maybank、CIMB | Bank Rakyat、Bank Islam |
「利子を取らないのになぜ儲かるの?」という疑問はもっともです。イスラム銀行では、銀行が代わりに商品を購入し、それを顧客に転売・リースするという取引形式で差益を稼ぎます。「利子」という言葉を使わないだけで、経済的な機能は一般銀行と大きくは変わりません。
次の5カ年戦略「LEAD30」へ
人民銀行は2025年に「BR25」と呼ばれる5カ年戦略を完了し、2026年からは新たに「LEAD30(2026〜2030年)」を始動します。デジタル変革と持続的成長を軸に、「マレーシアを代表するイスラム銀行」を目指す戦略です。また、協同組合投資基金にRM5,700万(約22億9,000万円)を拠出し、地域コミュニティへの貢献も継続しています。
日本人が知っておくべきこと
- 組合員は主にマレーシア国民が対象: 人民銀行の配当を受け取る組合員になるには、マレーシア市民権または永住権が必要です。就労ビザや観光ビザでは組合員にはなれません。
- 一般の銀行サービスは外国人も利用可能: ATM・送金・定期預金などの一般サービスは外国人でも利用できます(口座開設条件はそれぞれご確認を)。
- 他のイスラム銀行も多く展開: Maybank Islamic、CIMB Islamic、RHB Islamicなど、外国人が口座を開設しやすいイスラム銀行も多くあります。
- 為替換算: 記事内の換算は1RM=40.2円(2026年4月19日時点)を使用。為替レートは変動しますのでご注意ください。
マレーシアのイスラム金融業界は今後も成長が続くと予想されています。78万人という巨大な組合員基盤を持つ人民銀行の動向は、マレーシアの金融市場全体を映す鏡でもあります。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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