マレーシアのインド系コミュニティが今、あるチェス棋士の活躍に沸いています。インド出身の20歳、R・プラグナナンダ(R Praggnanandhaa)が、アメリカ・セントルイスで開催された「St. Louis Rapid & Blitz Championship(セントルイス・ラピッド&ブリッツ選手権)」で初優勝を果たしました。
プラグナナンダとは何者か
タミル・ナードゥ州チェンナイ出身のグランドマスター、プラグナナンダ。まだ20歳ながら、チェス界で最も注目を集める若手の一人です。今年はすでにノルウェー・チェス(Norway Chess)でも頂点に立ち、「チェスの帝王」マグナス・カールセン(Magnus Carlsen)を押しのけて優勝するという偉業を達成していました。
日本でたとえるなら、将棋界の藤井聡太棋士が10代でタイトルを次々と獲得した衝撃に近いイメージです。世界のチェス界でも、若き才能が伝説の巨人を超え始める時代がやってきています。
圧倒的な優勝内容
| 順位 | 選手名 | 国籍 | 総得点 |
|---|---|---|---|
| 🥇 1位 | R・プラグナナンダ | インド | 23.5点 |
| 🥈 2位 | ジャボフィル・シンダロフ | ウズベキスタン | 22点 |
| 🥉 3位 | ウェズリー・ソー | フィリピン | 20点 |
最終ラウンドを1つ残した段階で優勝を確定させるという余裕の勝ち方。特にブリッツ(持ち時間の短い高速チェス)部門では18局で11.5点を獲得し、敗北はわずか1回のみ。最終日は無敗で締めくくるという完璧な仕上がりでした。
インド系コミュニティが誇る活躍
この優勝がマレーシアのインド系コミュニティにとって特別な意味を持つのには理由があります。プラグナナンダはタミル系インド人であり、マレーシアに暮らす約180万人のインド系住民の多くが同じタミル系のルーツを持ちます。同じ出自を持つ若者が世界の頂点に立つ姿は、コミュニティ全体の誇りとなっています。
そもそもチェスはインドで生まれた競技です。「チャトランガ(Chaturanga)」と呼ばれる古代インドのゲームがその起源とされており、日本の将棋も同じチャトランガが東へ伝わって独自進化した兄弟競技とも言われています。つまりインドは、将棋もチェスも生んだ「ボードゲームの故郷」なのです。
Grand Chess Tour での存在感
今大会の優勝でプラグナナンダはGrand Chess Tour(グランド・チェス・ツアー)の総合順位で2位に浮上しました。このツアーは年間を通じて行われるチェス界最高峰のシリーズ戦です。
注目すべきは、彼がこのツアーに参加する唯一のインド人であること。インドから1人だけが世界最高峰の舞台で戦い続けているのです。今年はノルウェー・チェス制覇、そして今大会の優勝と、2026年はプラグナナンダの年になりつつあります。
チェスと将棋の違い ── 日本人向けメモ
将棋に親しんだ方には、チェスとの違いが気になるところかもしれません。ルールは異なりますが、共通点も多く、将棋経験者はチェスを覚えやすいと言われています。
| チェス | 将棋 | |
|---|---|---|
| 発祥 | インド(チャトランガ) | チャトランガ経由で日本へ |
| 競技人口 | 世界約6億人 | 日本国内約1,000万人 |
| 取った駒の扱い | 使用不可(除外) | 自分の駒として再使用可能 |
| トップ棋士 | カールセン、プラグナナンダ | 藤井聡太棋士 |
マレーシアでもチェスクラブは各地で活動しており、インド系・中華系コミュニティを中心に根強い人気があります。英語で対戦できるため言語の壁も低く、子どもの習い事としても注目されています。将棋に親しんだ日本人の子どもにもなじみやすい競技です。プラグナナンダのような天才の活躍を機に、チェスの世界に目を向けてみてはいかがでしょうか。
写真: Randy Fath / Unsplash
出典: Varnam の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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