マレーシア株式市場に注目している方なら、最近の令吉(リンギット)高騰が企業業績にどう影響しているか、気になるところではないでしょうか。今回は、マレーシア・シンガポール間の越境交通サービスを手掛けるHi Mobility(証券コード:HI 5335)について、Maybank Securities Research(メイバンク証券リサーチ)の最新分析をもとに解説します。
Hi Mobilityとはどんな会社?
Hi Mobilityは、マレーシアに住みながらシンガポールに通勤するマレーシア人向けの越境バス・交通サービスを提供する会社です。ジョホールバルとシンガポールを結ぶ第二リンク(通称「セカンドリンク」)を利用した通勤バスが主力事業。毎日数千人が国境を越えて通勤するという、日本ではなかなか想像しにくいユニークなビジネスモデルです。
日本で例えるなら、神奈川県から東京都内へ毎日通勤するような感覚ですが、それが別の国を越えているイメージです。シンガポールの高い賃金水準を享受しながら、生活費が低いジョホールバルに住む——そんな「越境生活者」の足を支えています。
株価の現状と最新の財務予測
| 項目 | 数値 | 日本円換算(1RM≈39.4円) |
|---|---|---|
| 終値(2026年4月1日) | RM1.90 | 約75円 |
| 修正前目標株価 | RM3.10 | 約122円 |
| 修正後目標株価 | RM2.80 | 約110円 |
| 2027年予想EPS | 13.2セン | — |
| 2027年予想PER | 14.1倍 | — |
| 2027年予想配当利回り | 2.6% | — |
株価は年初来で約32%下落しており、投資センチメントの悪化と世界的な不確実性が重荷になっています。
なぜ財務予測が下修されたのか?
今回の目標株価引き下げ(RM3.10→RM2.80)の主因は、令吉の強含みです。
Hi Mobilityの収益はシンガポールドル建て部分が含まれているため、令吉が強くなるとシンガポールドルをリンギットに換算したときの収益が目減りします。これはちょうど、日本の輸出企業が円高で業績が悪化するのと同じ構造です。Maybank証券は収益予測を4〜6%下方修正しました。
それでも「買い」を維持する理由
マイナスの要因があるにも関わらず、Maybank証券が投資判断「買い(Buy)」を継続しているのはなぜでしょうか。その背景には、以下の再評価カタリスト(株価上昇のきっかけ)があります。
| カタリスト | 内容 |
|---|---|
| RTSプロジェクト | ジョホールバル〜シンガポール間の高速鉄道(Rapid Transit System)関連契約の獲得期待 |
| Prasaranaフリート近代化 | マレーシア国営交通会社のバス車両更新プロジェクトへの参画 |
| 越境交通量の増加 | 経済回復・観光需要増に伴う利用者数拡大 |
| 増配の可能性 | 財務体質改善による配当引き上げ |
| M&A効果 | Acacia Motor ServicesおよびHandal BCM買収の完了・統合 |
特にRTSプロジェクトは、完成すればジョホールバル〜シンガポール間の人流が大幅に増加すると見込まれており、Hi Mobilityにとっては長期的な追い風となる可能性があります。日本で例えれば、第二東名高速道路の開通でバス輸送需要が増えるようなイメージです。
日本人投資家へのメモ
マレーシア株式市場(バルサ・マレーシア)への投資を検討している方向けに、いくつかポイントを整理します。
- 言語の壁: 株式情報は英語・中国語が中心ですが、主要証券会社のサービスは英語対応しています
- 口座開設: マレーシア在住の方はマレーシアの証券口座(Maybank Investment、CIMB 等)から直接投資可能
- 為替リスク: 令吉建てで投資する場合、円/令吉の為替変動も考慮が必要です
- 情報収集: Bursa Malaysiaの公式サイトや、Malaysia Stock Exchangeのアプリで企業情報を確認できます
- 投資判断は自己責任で: この記事はあくまで情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません
年初来32%という大幅な下落は短期的には痛みを伴いますが、ジョホールバル〜シンガポールの経済回廊は長期的に成長が期待されるエリア。マレーシアの経済動向に関心がある方は、こうした企業の動向も定点観測してみると面白いかもしれません。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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