マレーシアの道路を走っていると、「P」のエンブレムをつけたセダンやSUVをよく見かけませんか?それがプロトン(Proton)——マレーシアを代表する国民車ブランドです。
そのプロトンが2026年第1四半期(1〜3月)に22年ぶりの販売記録を樹立しました。累計販売台数は4万9,140台、3月単月では1万5,706台を記録し、市場シェアは27.4%と2017年以来最高水準に達しています。
プロトンとは?——日本でいうと?
プロトンは1983年設立のマレーシア国産自動車メーカーです。日本でいえば「トヨタ」のような存在ですが、より政府の政策と深く結びついた「国民車ブランド」という性格が強く、日本の軽自動車に似た「庶民の足」として長年マレーシア社会を支えてきました。
2017年には中国・吉利汽車(Geely)が筆頭株主となり、技術・品質面で大幅なテコ入れが行われました。その成果が今まさに数字として現れています。
2026年Q1 モデル別販売実績
| モデル | 3月販売台数 | Q1累計 | 前年比 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Proton Saga | 5,438台 | 21,770台 | +38% | エントリーセダン。2025年11月刷新 |
| Proton e.MAS5 | 2,071台 | — | — | マレーシアで最も売れているEV |
| Proton e.MAS(全EV) | 3,023台 | — | — | EV専用ラインナップ |
とくに注目はProton Sagaの躍進。前年比38%増という驚異的な伸びで、Q1だけで約2万2,000台を記録。2025年11月に刷新された新モデルが市場に受け入れられた形です。
EV市場でも首位——Proton e.MAS5の勢い
EVセグメントでも、プロトンは存在感を示しています。Proton e.MAS5は3月に2,071台を売り上げ、マレーシアで最も売れているEVの座を獲得しました。
日本では2024年時点でEV普及率がまだ数%に留まっているのに対し、マレーシアでは政府の税制優遇もあり、EVの普及が加速しています。プロトンのEV参入はその追い風を受けたかたちです。
なぜ22年ぶりの記録が出せたのか
プロトンの躍進には3つの要因が重なっています。
① Geely(吉利)との技術提携効果
中国・吉利汽車の技術をベースにした品質向上が、若い世代の「プロトン離れ」を食い止めました。
② 販売ネットワークの拡充
全国のディーラー網を強化し、アフターサービスの改善を図りました。日本でいえば「トヨタのディーラーが全都道府県に増えた」ようなイメージです。
③ 国産部品の現地調達率向上
部品の現地生産・組立を進めることでコスト競争力が高まり、国内自動車エコシステム全体への波及効果も生まれています。
日本の自動車産業との比較
| 比較項目 | マレーシア(プロトン) | 日本(トヨタ等) |
|---|---|---|
| 市場シェア | 27.4%(国内1位) | トヨタ約40%(国内) |
| 国の関与 | 国策ブランドとしての歴史 | 民間主導(国の支援あり) |
| EV戦略 | Geely技術活用で急拡大 | HV先行、EV移行期 |
| 価格帯 | エントリー〜中価格帯が中心 | 全価格帯 |
日本人が知っておくべきこと
マレーシアに住む・旅行する日本人にとって、プロトンのニュースはこんな意味を持ちます。
中古車・レンタカーとして身近な存在
マレーシアのレンタカー市場や中古車市場でも、プロトンは主要ブランドのひとつです。長期滞在やマイカー購入を考えている方にとって、選択肢として十分に検討に値します。
EVインフラの充実に期待
プロトンのEV販売増は、マレーシア国内の充電インフラ整備を促進します。日本のような「EVに乗りたいが充電場所が不安」という問題が、今後改善されていく兆しでもあります。
マレーシア経済の底堅さの象徴
自動車販売台数は景気のバロメーター。22年ぶりの記録更新は、マレーシア経済が堅調に成長していることを示す指標のひとつでもあります。
プロトンの快進撃は、マレーシアの自動車産業が「安かろう悪かろう」の時代を脱し、新たなステージへ踏み出したことを告げています。道路で見かけるあのPマークの車が、少し違って見えてくるかもしれません。
写真: Anton Holmgren / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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