マレーシア初のAIクラウド基盤を持つSNSネットワーク、売上高2倍超の快挙

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マレーシアに住んでいると、街中のIT機器ショップや家電量販店でよく目にするブランドがあります。その一つがSNS Network(SNSネットワーク)。パソコン・周辺機器の卸売・小売で知られるこの企業が、2026年3月、驚くべき決算結果を発表しました。

年間売上高が「100%超」の成長——一体何が起きたのか?

2026年1月期(FY2026)の通期業績は、売上高RM33億4,000万(約1兆3,360億円)。前年のRM10億2,000万(約4,080億円)から2倍以上に急拡大しました。日本で言えば、中堅商社が1年で売上を倍増させるようなインパクトです。

指標 FY2026 FY2025 前年比
売上高 RM33.4億(約1兆3,360億円) RM10.2億(約4,080億円) +228%
純利益 RM4,597万(約18.4億円) RM3,032万(約12.1億円) +51.7%
Q4売上高 RM3億8,354万(約153億円) 約RM2億5,200万 +52.4%

※ 1RM = 40.0円(2026年3月27日時点)

第4四半期の純利益はRM507万(約2億円)と前年比49.8%減に見えますが、これは前年に税務引当金の戻り益があったためで、事業そのものが悪化したわけではありません。通年では着実に増益を達成しています。

なぜ急成長?3つの背景

① デジタル化の波
マレーシア政府が推進する「マレーシア・デジタル」政策により、企業・官公庁のIT投資が加速。日本のDX推進補助金に似た政策が、機器需要を底上げしました。

② PC・機器の更新サイクル
コロナ禍で急増したリモートワーク用機器が、いっせいに更新時期を迎えています。日本でもWindowsのサポート終了に伴いPC買い替えが増えるように、マレーシアでも同様の更新需要が重なりました。

③ オンライン販売の急拡大
Lazada(ラザダ)やShopee(ショッピー)などのECプラットフォームを通じた販売が好調。実店舗とオンラインの両輪で売上を伸ばしています。

最大のニュース:マレーシア初の「AI工場」をサイバージャヤに開設

業績だけでなく、さらに注目すべきニュースがあります。SNS Networkがセランゴール州サイバージャヤ(クアラルンプール郊外の計画都市)に、マレーシア初の完全自社運営AIクラウド基盤「SNS AI Factory」を開設したのです。

項目 内容
場所 サイバージャヤ(KLから約30分)
GPU数 64基(NVIDIA Hopper世代)
サービス GPU-as-a-Service(GPUaaS)
対象 企業・政府機関・大学・研究機関
特徴 マレーシア国内ホスト、完全管理型

「NVIDIA Hopper」は現在最先端のAI用GPU。64基という規模は、日本の大学や研究機関が持つスパコンに相当するパワーを、月額課金で使えるイメージです。

これまでマレーシアの企業や大学がAI計算をしようとすると、AWSやAzureなど海外クラウドに依存するしかありませんでした。国内に高性能なGPUクラウドができたことで、データを国外に出さずに処理できるメリットが生まれます。個人情報保護や政府案件の機密性を考えると、この点は非常に重要です。

配当金も発表——投資家へのご褒美

好業績を受け、SNS Networkは1株あたり0.25センの配当を発表しました。

項目 日程
権利落ち日(Ex-dividend) 2026年5月4日
配当支払日 2026年5月26日

配当利回りとしては小幅ですが、成長株として評価されているSNS Networkが株主還元を継続している点は好感されています。

日本人が知っておくべきこと

在マレーシアの日本人ビジネスパーソン・起業家へ:
– SNS AI Factoryは日本企業の現地法人でも利用可能。マレーシアでAI開発や機械学習プロジェクトを進める際、国内ホストの高性能GPU環境として選択肢に入ります。
– サイバージャヤはMRTでKL市内から約40分、シャトルバスも充実しており、アクセスは良好です。

投資に興味がある方へ:
– SNS Networkはマレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)上場企業です。マレーシアで証券口座を持っている方は、ティッカー「SNS」で検索可能です。ただし投資判断はご自身でお願いします。

普通の生活者として:
– SNSネットワークのリテール部門はIPC Shopping Centre(ペタリンジャヤ)やMid Valley(KL)などの大型モールに入っています。PC・ガジェット購入の際に立ち寄ってみてください。

マレーシアのIT産業は、単なる「安い労働力の組み立て工場」から、AIクラウドを自前で持つテックハブへと急速に変貌しつつあります。SNS Networkの成長はその象徴の一つ。マレーシアがどこへ向かっているのか、肌で感じられる出来事です。

写真: Rama / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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