マレーシアに住んでいると、電気代や燃料費の高騰が気になりますよね。最近、世界的な原油価格の上昇が続いていますが、マレーシアの電力大手「杨忠礼能源(YTL Power Holdings、証券コード: YTLPOWR / 6742)」がこの高油価環境でも揺るぎない体制を整えていることが注目されています。
日本でいえば、東京電力や関西電力のような電力会社に加え、水道事業や再生可能エネルギーまで手がける巨大ユーティリティ企業です。ただし、YTLはシンガポール・ヨルダン・インドネシア・英国にまで事業展開するグローバル企業という点が大きく異なります。
YTLパワーの3大発電資産
YTL Powerが高油価に強い最大の理由は、燃料の多様化と自社調達能力にあります。
| 資産名 | 所在地 | 燃料 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SG PowerSeraya | シンガポール | 天然ガス | 電力購入協定(PPA)で安定収益 |
| Attarat Power | ヨルダン | オイルシェール(自社採掘) | 燃料を自社供給、価格変動に強い |
| Java Power | インドネシア | 石炭 | IPP(独立発電事業者)として安定稼働 |
特に注目はヨルダンのAttarat Powerプロジェクト。オイルシェール(油頁岩)を自社で採掘・使用するため、原油市場の価格変動に左右されません。日本でいえば、自前の炭鉱を持つ発電所のようなイメージです。このプロジェクト単体で年間3億〜3億5,000万RM(約99億〜115億円)の利益貢献が期待されており、中国パートナー企業との協力体制が地政学的リスク管理にも寄与しています。
2026年半ば稼働予定:218MWの大型太陽光発電
2026年半ばには218MWの大規模太陽光発電プロジェクトが稼働予定。これにより系統電力への依存が低下し、2027年以降の収益がさらに押し上げられると見込まれています。
日本でも再生可能エネルギーへの転換が加速していますが、マレーシアは赤道直下で年間を通じて日射量が安定しているため、太陽光発電の効率面では日本より有利です。マレーシア政府が再生エネ比率の拡大を政策目標に掲げる中、この動きは時代の流れにも合致しています。
水道事業(英国ウェセックス・ウォーター)も追い風
YTL Powerは英国の水道会社Wessex Water(ウェセックス・ウォーター)も傘下に持っています。英国の水道料金改定により、この部門からの収益増加も見込まれています。
日本では水道事業は自治体が運営するのが一般的ですが、英国では民間企業が運営するケースが多く、YTLはその事業者を所有しています。エネルギーと水道という「生活インフラ2本柱」を持つ企業構造は、景気変動への耐性という面で大きな強みです。日本でいえば、東京電力と東京都水道局を合わせたような事業ポートフォリオを持つ民間企業、といえば伝わるでしょうか。
アナリスト評価と株価動向
Hong Leong Bank ResearchはYTLPOWRに「買い(Buy)」評価を維持し、目標株価を5.08RM(約168円)に設定。2026年3月24日の終値は2.87RM(約95円)で、目標株価との乖離率は約77%と、大きな上昇余地があるとアナリストは判断しています。
| 指標 | 数値 | 日本円換算(1RM≈33円) |
|---|---|---|
| 終値 | 2.87RM | 約95円 |
| 目標株価(Hong Leong) | 5.08RM | 約168円 |
| 上昇余地 | 約77% | — |
| 出来高 | 524万株 | — |
| アナリスト評価 | 買い(Buy) | — |
日本人投資家が知っておくべきこと
マレーシアの証券口座をお持ちの方、あるいは開設を検討している方へ。YTLPOWRはBursa Malaysia(クアラルンプール証券取引所)に上場しており、証券コードは6742です。
- 口座開設先: Maybank投資銀行、CIMB証券、CGS証券などで外国人でも開設可能
- 配当実績: YTLグループは配当実績があり、長期保有目的の投資家にも支持されている
- 通貨リスク: RM建て資産はRM/JPY為替の影響を受ける(現在1RM≒33円)
- 税務: マレーシア居住の日本人は、日本への確定申告義務を要確認
※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
高油価という逆風の中でも、燃料の自社調達・多様化・再生可能エネルギーへの転換という3つの武器を持つYTL Power。マレーシアのエネルギー事情を理解する上でも、投資対象として検討する上でも、注目しておく価値のある企業です。
写真: Muhammad Faiz Zulkeflee / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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