「ガソリンがまた値上がりするの?」——そんな不安がマレーシアに住む日本人の間でも広がっています。2026年3月第1週、国際原油価格が記録的な急騰を見せ、WTI原油は1週間で35.6%、ブレント原油は27.9%も上昇しました。WTIが1983年以来、ブレントが1991年以来最大の週間上昇率です。
現在の原油価格 — 一目でわかる表
| 指標 | 終値 | 週間上昇率 | マレーシア換算 | 日本円換算(参考) |
|---|---|---|---|---|
| WTI原油(米国産) | $90.90/バレル | +35.6% | RM359/バレル | 約13,600円 |
| ブレント原油(国際指標) | $92.69/バレル | +27.9% | RM366/バレル | 約13,900円 |
| 予想上値(Goldman Sachs) | $100/バレル | — | RM395/バレル | 約15,000円 |
| 予想上値(Barclays) | $120/バレル | — | RM474/バレル | 約18,000円 |
なぜこんなに急騰しているの?
原因は米国・イスラエルによるイラン空爆の激化です。
イランは世界有数の産油国ですが、今回の紛争で特に懸念されているのがホルムズ海峡の封鎖リスクです。ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾と外部の海をつなぐ幅の狭い水路で、世界の石油・液化天然ガス(LNG)の約5分の1がここを通過します。
日本人に馴染み深い例えで言えば、東京湾の入り口に当たる部分が封鎖されるようなイメージです。物流の要となる通路が止まれば、世界中の石油供給に深刻な影響が出ます。イランはすでに「海峡を通る船舶への攻撃」を示唆しており、市場が神経質になっています。
マレーシアへの影響 — 日本と比較してみると
日本では、原油価格の上昇は「ガソリン代が上がる→運送コストが上がる→物価が上がる」という連鎖として家計に直撃します。マレーシアも基本的な構造は同じですが、重要な違いがあります。
| 項目 | 日本 | マレーシア |
|---|---|---|
| ガソリン価格決定 | 市場連動(税金込み) | 政府補助金あり(RON95は規制価格) |
| 電気代 | 市場価格(東電等) | TNBが一部補助 |
| 影響の速さ | 週次で反映される | 補助金で緩衝されるが限界あり |
| 家計への緩衝機能 | 政府補助は限定的 | 補助金制度が盾になる |
マレーシア政府はRON95ガソリンに補助金を設けており、一般市民が直接的な価格急騰の直撃を受けにくい仕組みになっています。ただし、原油高が長引くと補助金の財政負担が増し、段階的削減が議論されることもあります。日本でいえば、「ガソリン補助金を国が出している状態」に近いイメージです。
日本人向けメモ
マレーシア在住・旅行予定の方へ、今知っておくべきこと:
- RON95はすぐには高騰しない可能性が高い: 政府管理価格のため、国際価格が即座に反映されるわけではありません。ただし、RON97(プレミアムグレード)は市場価格に連動するため、高めに推移する可能性があります。
- Grabの運賃に注意: 原油価格上昇が続くと、Grabやタクシーなどのサージプライシングやベース運賃が上がる可能性があります。移動コストを少し多めに見積もっておきましょう。
- 輸入食材・日本食材が値上がりする可能性: 物流コスト上昇が転嫁されると、日本食スーパー(Isetan、Jaya Grocer等)での輸入品価格に影響が出るかもしれません。
- 日本への送金タイミング: 原油高でリンギットが動く場合もあります。為替の変動も注視しておきましょう。
今後の見通し
Goldman Sachs は「紛争が解決しなければ来週にも$100/バレル(RM395)を突破する可能性がある」と警告。さらに Barclays は「紛争が数週間続けばブレント原油が$120/バレル(RM474・約18,000円)をテストする可能性がある」と予測しています。
$120/バレルが現実になれば、世界的なインフレ再燃は避けられません。2022年のウクライナ侵攻後の物価高騰を思い出す方も多いのではないでしょうか。あの時と同様、食料品から光熱費まで広範な値上がり圧力がかかります。
マレーシアで生活する私たちにとっても、中東情勢とホルムズ海峡の動向は「遠い話」ではありません。引き続き情報をウォッチしていきましょう。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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