マレーシアに滞在していると、ペナンやジョホールバルの工業地帯に巨大な工場が立ち並ぶ光景をよく目にしますよね。実は、マレーシアは今、世界の電子機器製造の「新しい中心地」として急速に存在感を高めています。
マレーシアのEMS(電子機器製造受託サービス)企業「巨盛(Geshen Holdings)」が、2026年第2四半期(4〜6月)の業績を発表し、四半期売上高が初めて1億リンギット(約42.2億円)を突破しました。AI・半導体需要の拡大が大きな追い風となっています。
最新業績サマリー
| 指標 | Q2 2026 | 前年同期比 | 前四半期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | RM1億741万(約42.2億円) | +12% | +19% |
| 純利益 | RM749万(約2.9億円) | +4% | +54% |
| 指標 | 上半期(H1)2026 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | RM1億9,756万(約77.6億円) | +31% |
| 純利益 | RM1,085万(約4.3億円) | -12%※ |
※ 前年は約1.9億円の資産売却益(一時的収益)を計上していたため見かけ上マイナス。本業の実力は着実に伸長しています。
EMS(電子機器製造受託)って何?日本との比較で理解する
「EMS」という言葉に馴染みがなくても大丈夫です。日本でわかりやすく例えると、「有名ブランドの製品を陰で作るOEM工場」のイメージです。
たとえば、日本のソニーやパナソニックが「この基板を○万枚作ってほしい」と発注すると、EMS企業がその製造をまるごと引き受けます。自社ブランドは持たず、他社の仕様に沿って量産するのがEMSの役割です。
| EMS(マレーシア・巨盛) | 日本のEMS・OEM企業 | |
|---|---|---|
| 役割 | 電子機器の受託製造 | 他社ブランド向け製造 |
| 強み | コスト競争力・柔軟な生産 | 精密技術・品質管理 |
| 主要顧客 | グローバル大手テック企業 | 国内メーカーが中心 |
| 注力分野 | AI製品・光学・精密製造 | 自動車・医療機器 |
巨盛の事業の柱はEMS(受託製造)に加え、AIデバイス向け製品・光学製品・精密製造など最先端分野です。現在、クリーンルームと基板実装(PCBA:プリント回路基板アセンブリ)の生産能力を積極的に拡大中です。
なぜ今マレーシアの電子製造業が熱いのか
マレーシアは今、中国に代わるサプライチェーンの受け皿として世界的な注目を集めています。米中貿易摩擦の影響で、多くの多国籍企業が製造拠点を中国から分散させており、マレーシアはその有力な受け皿の一つです。
特に以下の分野では、マレーシアへの設備投資が急増しています:
- 半導体パッケージング: インテル、AMD、日本のルネサスなどが主要拠点を置くペナン
- AIデータセンター: クアラルンプール近郊でデータセンター建設ラッシュが続く
- 精密クリーンルーム製造: 巨盛が今まさに拡充している分野
日本でいえば、1980〜90年代の「工場の海外移転ラッシュ」に似た動きが今マレーシアで起きているイメージです。
2026年後半の成長戦略
巨盛は下半期(7〜12月)に向けて明確な成長戦略を打ち出しています:
- ジョホール州の不動産を売却し、高付加価値事業に再投資
→ 土地を持つより、AIや半導体向け製造に経営資源を集中する判断 - 子会社「Local Assembly」の残り40%株式を取得し、完全子会社化を完了
→ 生産ライン全体を自社管理下に置き、効率と品質を一層向上 - AI・半導体・データセンター需要の拡大を背景に、後半の増収を見込む
日本人が知っておくべきこと
マレーシア経済の「今」を読む目安として
在住日本人の方にとって、こうした企業の業績は「マレーシア経済がどこに向かっているか」を読むバロメーターになります。製造業が稼ぐ時期はリンギット高(円安)になりやすく、日本円での生活費換算にも影響が出ます。
日系企業との接点
マレーシアのEMS企業は日本企業との取引が多いです。TDK、京セラ、村田製作所など日本の電子部品メーカーがマレーシアに製造拠点を持ち、地場EMS企業と連携するケースも増えています。身近な日本製品の部品が、実はマレーシア製かもしれません。
マレーシア株に興味がある方へ
巨盛(Geshen Holdings、銘柄コード:GESHEN)はブルサマレーシア(Bursa Malaysia)に上場している公開企業です。日本の東証に相当する取引所で、外国人でも口座開設すれば売買可能です。ただし投資は自己責任でご判断ください。
マレーシアは観光や食の魅力だけでなく、アジアのテクノロジー製造拠点としての顔も持っています。お手元のスマートフォンや家電の基板がマレーシアで作られているかもしれない——そう思うと、この国の工業地帯がまた違った目で見えてきませんか?
為替レート: 1RM = 39.3円(2026年8月21日時点)
写真: Umar Al Farouq / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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