マレーシアで生活していると、電気代の上昇や短時間停電が気になることもありますよね。そんな方に知っておいてほしいのが、マレーシア政府が力を入れる再生可能エネルギー政策の最新動向です。2026年7月、大規模太陽光発電プログラム「LSS6」の設備容量が大幅に引き上げられ、民間投資総額は最大RM 150億(約5,985億円)に達する見込みとなりました。
LSS6(ラージスケールソーラー6)とは?
LSS(Large Scale Solar)とは、マレーシア政府が民間企業に対して入札形式で大規模太陽光発電所の建設・運営を委託するプログラムです。エネルギー委員会(EC)が主導し、2017年のLSS1から始まって今回で6回目となります。
日本でいえば経済産業省が運営する「FIT(固定価格買取制度)」の大規模事業者版に近い仕組みです。ただし規模が段違いで、今回のLSS6だけで最大2.65GW——これは日本の川内原子力発電所(1.78GW)を上回る発電能力です。
今回の最大ニュース:容量が32.5%拡大
当初2.0GWで設定されていたLSS6の入札容量が、2.65GWへと大幅拡大されました。これに伴い、民間事業者による投資額も増加します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| LSS6 設備容量(変更前) | 2.0 GW |
| LSS6 設備容量(変更後) | 2.65 GW |
| 予想民間投資総額 | RM 130億〜150億(約5,187億〜5,985億円) |
BESS(蓄電池)込みで投資コストが跳ね上がる
今回のLSS6で注目すべきは、BESS(Battery Energy Storage System=蓄電池システム)との組み合わせが求められる点です。
太陽光発電は昼間しか電力を生み出せません。夕方以降や雨天時でも安定した供給を行うためには、昼間の余剰電力を蓄電池に蓄えておく必要があります。これがBESSの役割です。
日本のご家庭でも「太陽光パネル+蓄電池」セットが普及してきましたが、それの産業・国家レベル版をイメージすると分かりやすいでしょう。BESS統合には、バッテリー本体に加えて電力変換装置・エネルギー管理システム・系統連系設備が必要で、技術的な複雑さが増します。
| 方式 | 1MWあたりコスト | 日本円換算(目安) |
|---|---|---|
| 従来型(太陽光のみ) | 約RM 300万 | 約1.2億円 |
| BESS込み(太陽光+蓄電池) | RM 490万〜570万 | 約1.96億〜2.28億円 |
| BESSによる追加コスト | RM 190万〜270万 | 約0.76億〜1.08億円 |
(1 RM = 39.9円、2026年7月17日時点)
このコスト増加により、財務基盤が強く高い施工能力を持つEPCC請負業者(設計・調達・建設・試運転を一括受注する会社)に有利な市場環境となっています。電気工事・高圧エンジニアリング分野にも広く仕事が流れます。
投資・業績へのインパクトタイムライン
業界アナリストが示す見通しは以下の通りです。
| 時期 | 予測される動き |
|---|---|
| 2026年〜2027年第1四半期 | 入札・受注・着工準備フェーズ |
| 2027年第2四半期 | キャッシュフローの本格化(大規模工事開始) |
| 2028年 | 太陽光・電気工事関連企業の業績への本格貢献 |
日本人向けメモ:在住者にとっての意味
停電・電気代の安定化に期待
BESSを組み込んだ太陽光発電が増えることで、マレーシアの電力供給の安定性が中長期的に向上する可能性があります。都市部でも時折発生する短時間停電(いわゆる「トリッピング」)の改善につながる取り組みとして注目されます。
Bursa Malaysia投資家の視点
マレーシア株式市場(ブルサマレーシア)に投資している在住者にとっては、太陽光発電・電気工事・BESS関連銘柄が2027〜2028年に向けた中期テーマになりそうです。ただし投資判断はご自身での調査のうえ行ってください。
日本企業・製造業との関係
マレーシアで製造業を営む日本系企業では、カーボンニュートラルの観点から「再生可能エネルギー電力の調達」を取引先から求められるケースが増えています。太陽光供給の拡大は、電力調達の選択肢が広がることを意味します。
日本との違い
日本ではFITで太陽光が急拡大した後、買取価格の低下や系統混雑問題で普及が鈍化しました。マレーシアはまだ成長フェーズにあり、政府のコミットメントも強固です。マレーシアは2030年までに再生可能エネルギー比率40%を目指しており、LSS6はその実現に向けた重要な一手です。在住者の暮らしを支えるインフラが着実に進化しています。
写真: Muhammad Akhir / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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