マレーシアのデジタル経済を統括する政府機関「MDEC(Malaysia Digital Economy Corporation)」に、2026年6月21日付けで新たな非執行会長が就任することになりました。マレーシアが国家目標に掲げる「AI大国化」への本気度が、このニュースからも伝わってきます。
MDECとは?日本で言えば「デジタル庁+経産省IT部門」
MDECは、マレーシア政府が設立したデジタル経済推進の司令塔です。IT企業の誘致、デジタルインフラの整備、AI人材の育成など、マレーシアをデジタル大国にするための政策立案と実行を一手に担っています。
日本に例えると「デジタル庁」と「経産省のIT振興部門」を合わせたような存在、と想像するとわかりやすいでしょうか。本部はクアラルンプールから南に約30kmの計画都市・サイバージャヤに置かれており、外資系IT企業の誘致にも積極的に取り組んでいます。
新会長はMOL Global創業者、ガナス・ゴバードゥン氏(48歳)
新会長に就任するのは、IT・フィンテック分野のベテラン起業家、ガナス・ゴバードゥン(Ganas Goburdhun)氏(48歳)です。
同氏が創業したMOL Globalは、東南アジアを中心にオンライン決済・デジタルコンテンツ課金を展開してきた企業。ゲームのプリペイドカードやオンライン支払いの分野で、日本で言えば「BitCash」や「WebMoney」に近いサービスを東南アジア全域で手がけてきました。
すでに2025年2月からMDEC取締役を務めており、今回の会長就任はその実績が評価された形です。
ガナス氏の主な経歴
| 役職 | 機関 | 補足 |
|---|---|---|
| 非執行会長 | MDEC(2026年6月〜) | 本記事のトピック |
| 取締役 | MDEC(2025年2月〜) | 会長就任前から在任 |
| 取締役 | PayNet(マレーシア決済ネットワーク) | 日本の全銀システムに相当 |
| 前会長 | PIKOM(ICT産業協会) | 日本のJISAに相当 |
| 前取締役 | MaGIC(スタートアップ支援機関) | 日本のJ-Startupに類似 |
「2030年AI国家」を目指すマレーシアの野心
デジタル担当大臣ゴービンド・シン(Gobind Singh)氏は今回の就任に際し、「政府と産業界の連携を強化し、2030年までのAI国家実現目標に向けた取り組みを加速させる」とコメントしています。
日本が「DX(デジタルトランスフォーメーション)」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」を国家戦略に掲げているのと同様、マレーシアもAIとデジタル経済を次世代の成長エンジンと位置づけています。
大きな違いは、マレーシアがASEANのAIハブになることを明確に打ち出している点です。東南アジア10か国、人口約7億人の巨大市場を見据えた非常に野心的な戦略で、実際にマイクロソフト、グーグル、アマゾンなどの大手テック企業がすでにマレーシアへの大規模投資を表明しています。
日本人が知っておくべきこと
マレーシアへの在住・就労・投資を考えている日本人にとって、MDECの動向は意外に身近な問題です。
- IT・テック系ビザへの影響:MDECが管轄するデジタル人材誘致プログラム(DE Rantau など)の方針が変わる可能性があります。フリーランスやリモートワーカーとしてマレーシアに滞在したい方は要チェックです
- 日系IT企業のマレーシア進出機会:MDECは外資系企業の誘致を積極的に行っており、新会長のもとで日本企業との連携強化が期待されます
- サイバージャヤという選択肢:MDECの本拠地であるサイバージャヤは、KL市内より物価が安く静かな環境でIT業務に集中できる街です。プトラジャヤ(首都機能移転先)に隣接し、KLセントラルへのKTMコミューター直通アクセスもあります
マレーシアのデジタル革命は着実に加速しています。新会長ガナス氏のもとでどのような政策が展開されるか——在マレーシアの日本人としても、この動きを注目してみてはいかがでしょうか。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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