マレーシア不動産広告の「釣り」問題、ついに業界が動く

マネー・生活費

「このマンション、本当にこの価格で買えるの?」——マレーシアで物件を探したことがある方なら、一度はそんな経験をしたのではないでしょうか。実際に問い合わせると「その物件はもう売れました」「価格が違います」というケースが後を絶ちません。

マレーシアの不動産市場で横行する「釣りタイトル広告」の問題が、ついに業界全体で議論されるようになっています。

釣り広告が生まれる構造的な理由

マレーシアの主要不動産プラットフォーム(PropertyGuru、iPropertyなど)の収益モデルは、仲介業者が掲載費を払う「広告料収入型」が主流です。物件が売れようが売れまいが、業者は掲載料を払い続けなければなりません。

課金モデル 仕組み 業者へのインセンティブ
従来型(広告料課金) 成約に関わらず掲載料が発生 クリック・表示回数を増やせば増やすほど有利
成果報酬型(新興) 買い手が現れた時だけ課金 実際に成約につながる質の高い情報を出す動機が生まれる

「とにかく目立てばいい」というプレッシャーが、誇大表現や釣りタイトルを生む構造になっています。さらに、多くのプラットフォームの並び順アルゴリズムは「最新掲載順」か「価格の安い順」。そのため業者は常に最安値を打ち出し、同じ物件を何度も「新規掲載」として登録し直すといった行為が常態化しています。

日本の不動産市場との比較

日本でも物件広告の誇大表現は昔から問題視されてきましたが、宅地建物取引業法や「不動産の表示に関する公正競争規約」によってかなり厳しく規制されています。おとり広告は業務停止処分の対象にもなります。

項目 マレーシア 日本
広告規制 規制はあるが執行が緩い 宅建業法・公正競争規約で厳格規制
主な違反パターン 架空物件・価格誤表示・条件の隠蔽 おとり広告・誇大表現
業者資格 REA(不動産エージェント)登録制 宅地建物取引士(宅建士)国家資格
主要プラットフォーム PropertyGuru、iProperty、MyRumah Baru SUUMO、アットホーム、HOME’S

マレーシアはこの面ではまだ発展途上ですが、業界内部から「このままではいけない」という声が上がり始めているのは、確かな進歩といえます。

新モデル「MyRumah Baru」の挑戦

こうした状況に一石を投じているのが、MyRumah Baru(マイルマバル)というプラットフォームです。「買い手が実際に現れた時だけ費用が発生する」成果報酬型を採用しており、業者は成約に繋がらない広告費を垂れ流す必要がありません。

その結果、AIを活用した内覧予約の獲得数が前年比200%成長、直近四半期では驚異の339%成長を記録しています。日本でいえば、SREホールディングスなどが推進するテックドリブンな不動産仲介に近い発想です。

また、eKYC(本人確認システム)と双方向レビュー(業者も買い手も互いに評価できる)を導入することで、双方の信頼性と説明責任を担保しています。

日本人が知っておくべきこと

マレーシアでは近年、MM2H(マレーシア・マイ・セカンドホーム)ビザ保有者向けの不動産取得規制が緩和されるなど、外国人にとっても物件購入が身近になっています。釣り広告問題を踏まえて、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 複数サイトを横断比較する: PropertyGuru、iProperty、MyRumah Baru を同時に見て、同じ物件の価格・状態を照合する
  • 相場より20%以上安い物件は要注意: 釣り広告の典型パターン。実際に問い合わせると「売却済み」「価格が違う」と言われることが多い
  • BOVAEA(不動産評価・エージェント管理委員会)登録業者を確認: 業者のライセンス番号を必ず確認する。英語対応の登録エージェントも多い
  • 内覧は必ず現地で: 写真と現物が大きく違うケースがある。日本の賃貸市場のような「写真通りの部屋」という前提は持たないこと

業界の変化は始まっています。成果報酬型モデルが普及すれば、正確な情報で不動産探しができる日も遠くないかもしれません。

写真: Neil Daftary / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました