マレーシアに住む日本人なら、隣国シンガポールへの旅行や送金のたびに「シンガポールドル(SGD)って高いな…」と感じたことはありませんか?
実はそのSGDが今、東南アジアで最も強いパフォーマンスを見せており、その背景には独特の金融政策と、中国の人民元(CNY)との深い連動性があります。在住日本人の資産管理にも直結する話なので、ぜひ押さえておきましょう。
シンガポールの金融政策は「金利」ではなく「為替」
日本銀行やアメリカの連邦準備制度(FRB)など、ほとんどの中央銀行が「金利」を調整して物価をコントロールするのに対し、シンガポール金融管理局(MAS)は為替レートそのものを政策ツールとして使います。
インフレが高まれば「SGDを意図的に強くする」ことで輸入物価を引き下げる、という方式です。日本でいえば「日銀が意図的に円高誘導して輸入コストを抑える」ようなイメージですが、実際の日本ではほとんど使われない手法です。
この仕組みのおかげでSGDは投機的な攻撃に強く、「アジアの安全通貨」としての地位を長年維持しています。
人民元との異例の連動性
SGDが近年特に注目されているもう一つの理由が、中国の人民元(CNY)との強い連動性です。
シンガポールは複数の主要通貨を組み合わせてSGDの基準レートを決める「通貨バスケット」方式を採用しており、その中で人民元の比率は11.9%を占めています。アジア通貨の中でも突出した水準です。
中国経済が底堅さを見せ、人民元が上昇するとSGDも連動して上がりやすい構造になっています。エコノミストの間では「SGDと人民元の連動性はアジア通貨で最も強い」とも評価されています。
東南アジア主要通貨の比較
| 通貨 | 2025年の対USD推移 | 安定性 | 金融政策の軸 |
|---|---|---|---|
| SGD(シンガポールドル) | 堅調・東南アジア最強 | ◎ | 為替レート管理 |
| MYR(マレーシアリンギット) | +10%超(アジアトップ水準) | ○ 改善中 | 金利政策 |
| PHP(フィリピンペソ) | MYR・SGDより弱い | △ | 金利政策 |
| JPY(日本円) | 変動大、長期低迷 | △ | 金利政策 |
マレーシアリンギットも負けていない
マレーシア在住者にとって嬉しいニュースもあります。マレーシアリンギット(MYR)は2025年、対ドルで10%以上上昇し、アジアトップクラスのパフォーマンスを記録しました。
2024年に1ドル=4.7リンギット台だったのが2025年に大幅に改善。日本から送金してリンギットに換えて生活している方、リンギットで貯蓄している方には、実質的な資産価値の上昇を意味します。1RM=40.2円(2026年4月19日時点)と、以前の「1RM≈33円」時代から比べると大きく変わっています。
2026年末の見通し
市場予測では、以下の条件が揃えば2026年末までにSGD/USDが1.26まで上昇する可能性があるとされています。
- 米ドル指数(DXY)の弱体化が続く場合
- MASが2026年7月の政策会合で追加引き締めを実施した場合
日本人が知っておくべきこと
シンガポール旅行・両替を考えている方へ
- SGDはアジアで最も安定した通貨の一つ。急激な暴落リスクが低い点は安心材料
- 日本円→SGDの両替は、クアラルンプール市内のマネーチェンジャー(両替商)経由が空港より有利なレートになることが多い
- KLからシンガポールへの送金はWise(ワイズ)が手数料・レートともに有利
マレーシア在住者の資産管理の観点から
- リンギット建ての固定預金(FD)は年利3〜4%台が多く、円預金(ほぼ0%)に比べると実質的に有利な場面も
- 円安が続く日本と比較すると、マレーシア・シンガポールの通貨は相対的に堅調
- 為替は常に変動します。大きな判断の前に必ず最新レートをご確認ください
写真: Joshua Kettle / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


コメント