職場ハラスメントで解雇→逆転勝訴!マレーシアの労働裁判

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マレーシアで働いていて、「もし職場でひどい扱いを受けたら、どうすればいいんだろう?」と不安に思ったことはありませんか?

2022年に決着した一件の裁判が、マレーシアの労働者保護の実態を改めて浮き彫りにしました。アメリカン・エキスプレス・マレーシア(American Express Malaysia)の元社員が、数年にわたる職場いじめと不当解雇を経て、インダストリアル・コート(Industrial Court / 労働裁判所)で逆転勝訴を果たしたのです。


事件の概要:繰り返した告発と、会社による握り潰し

2014年にアメリカン・エキスプレス・マレーシアに「シニア・クレジット・スペシャリスト(Senior Credit Specialist)」として入社したクヘンドランさんは、2015年頃からスーパーバイザーによる継続的な嫌がらせを受け始めました。

彼は社内に何度も書面で苦情を申し立てましたが、会社は適切な調査も解決策も提示しませんでした。

転機は2022年3月3日。 問題がついにニューヨークのアメリカン・エキスプレス本社へエスカレーション(escalation)されます。しかし会社の対応は驚くべきものでした——内部告発を受けて動いたのは「調査」ではなく、クヘンドランさん本人への始末書要求(ショーコーズ・レター / Show-Cause Letter)だったのです。

そして2022年6月23日、クヘンドランさんは解雇されます。


インダストリアル・コートの判断

マレーシアのインダストリアル・コートは、この解雇を不当かつ報復的(retaliatory)と認定。アメリカン・エキスプレス・マレーシアに以下の支払いを命じました。

内容 金額(RM) 日本円換算
バックペイ+復職代替補償 RM153,200 約613万円

※1RM = 40.0円(2026年5月20日時点)

復職(Reinstatement)ではなく金銭補償(Compensation in lieu of reinstatement)が選ばれたのは、問題のあった職場に戻るよりも新しいキャリアを歩む方が現実的と判断されたためです。


マレーシアと日本の労働紛争制度を比べると

マレーシアにはインダストリアル・コートという労使紛争専門の裁判所があります。日本の労働委員会・労働審判所に相当しますが、仕組みはやや異なります。

項目 マレーシア 日本
専門機関 Industrial Court(インダストリアル・コート) 労働委員会・労働審判所
申請窓口 JTK(労働局 / Jabatan Tenaga Kerja) 労基署・都道府県労働局
費用 基本無料(弁護士費用は別) 労働審判は実質無料
復職命令 裁判所が直接命令可能 法的には可能、実務では稀
解決方法 復職 または 金銭補償 金銭解決が主流
外国籍への適用 あり(雇用法・IRA) あり(労基法)

日本では「会社に逆らうと損をする」という空気感が残りがちですが、マレーシアも「泣き寝入りが普通」ではありません。正当な手続きを踏めば、外資系大企業相手でも勝訴できる仕組みが機能しているのです。


「内部告発→解雇」がなぜ違法なのか

今回のケースで特に重要なのは、内部告発・苦情申し立てへの報復として解雇されたと裁判所が認定した点です。

これを報復的解雇(Retaliatory Dismissal)と呼びます。マレーシアのインダストリアル・リレーションズ・アクト(IRA / Industrial Relations Act 1967)第20条は、労働者の正当な権利行使(苦情申し立て・内部告発等)を理由とした解雇を、明確に不当解雇として禁止しています。

日本の公益通報者保護法に相当する考え方がマレーシアにも存在し、裁判所がそれを機能させたケースです。


日本人が知っておくべきこと

マレーシアで働く日本人にとって、この判決にはいくつかの重要な教訓が含まれています。

1. 外国籍でも労働法は守ってくれる
マレーシアの雇用法(Employment Act 1955)とIRAは、国籍に関わらず適用されます。「外国人だから仕方ない」は大きな誤解です。

2. 苦情は必ず記録に残す
口頭ではなく、メール・書面での苦情申し立てが決め手になります。今回のケースでも、複数回の書面による内部苦情が裁判所での証拠となりました。社内メール・Slackのスクリーンショット保存を習慣にしましょう。

3. 主な相談窓口
JTK(労働局): 各州に窓口あり。不当解雇・賃金未払い等の相談を受け付け
在マレーシア日本国大使館: 労働問題の初期相談にも対応
クアラルンプールの日本語対応法律事務所: 専門的な労働問題は弁護士への相談も選択肢

4. 「我慢」は日本的美徳、マレーシアでは通じない
日本のビジネス文化では「我慢が美徳」とされる場面もありますが、マレーシアの職場では権利主張は普通のことです。不当な扱いを感じたら、早めに動く方が結果的に自分を守れます。


この判決は、マレーシアの労働者保護の仕組みが実際に機能することを示した事例です。職場環境に悩みを抱えているなら、まずは記録を残し、一人で抱え込まずに専門機関への相談を検討してみてください。

写真: K X I T H V I S U A L S / Unsplash

出典: Varnam.my の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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