東京海上ホールディングスといえば、日本では最大手の損害保険グループの一つ。実はこの会社が今、マレーシアの大手銀行RHB(兴业)銀行との間で、ある大型取引の交渉を再開しようとしています。
東京海上がRHB保険を買収へ——何が起きているのか
2026年5月11日、マレーシア中央銀行(バンクネガラ・マレーシア、Bank Negara Malaysia)は、RHB銀行グループがその保険子会社「RHB Insurance」の全株式(100%)を、東京海上アジア(Tokio Marine Asia Pte Ltd)に売却する交渉を行うことを正式に承認しました。
交渉期限は承認日から6ヶ月以内。つまり2026年11月中旬までに合意に至る必要があります。さらに、2013年金融サービス法(Financial Services Act 2013)に基づき、マレーシア財務大臣の最終承認も必要です。
取引後の構造はどうなる?
今回の取引が成立すると、単純な買収で終わりません。取引後の統合計画が興味深い。
| フェーズ | 内容 |
|---|---|
| 売却前 | RHB銀行 → RHB Insurance を100%保有 |
| 売却後 | RHB Insurance と Tokio Marine Insurance (Malaysia) が統合 |
| 統合後 | RHB銀行は統合新会社の株式を最大35%保有 |
つまり東京海上がマレーシア市場に大きく入り込みつつ、RHB銀行もゼロになるわけではなく、少数株主として残る形です。日本でいうと、かつてメガバンクが生損保グループと業務提携しながら持ち合いを続けた「戦略的提携型M&A」に近いイメージです。
2019年の失敗——今回は2度目の挑戦
実は今回の交渉、初めてではありません。
2019年7月にも同じくRHB銀行は東京海上との間で保険部門の売却交渉(当時は最大94.7%の株式)を進めていました。しかし同年12月に交渉決裂。詳細は公表されていませんが、条件面での折り合いがつかなかったとみられています。
あれから約7年。両社は再び交渉のテーブルにつくことになりました。前回の失敗の経験を活かし、今回は「100%売却+統合後35%再取得」という構造に変えることで、双方が妥協点を見つけやすくしています。RHB銀行にとっては「完全に手放す」のではなく「パートナーとして残る」という着地点が、前回より受け入れやすい条件といえるでしょう。
マレーシアの銀行・保険業界の背景
マレーシアの大手銀行グループ(Maybank、CIMB、RHBなど)は、日本の「メガバンク+生損保グループ」と似た多角化経営をしています。ただし、マレーシアでは近年、銀行が保険子会社を売却する動きが増えています。
理由のひとつは規制強化です。バンクネガラは銀行の資本効率を高めることを求めており、保険子会社を外部に売却することで、銀行本体がコアビジネスに集中できます。日本でも2000年代の金融再編でメガバンクが保険や証券を分離・提携させた動きと重なります。
日本とマレーシアの金融・保険規制比較
| 項目 | マレーシア | 日本 |
|---|---|---|
| 金融規制当局 | バンクネガラ(中央銀行) | 金融庁 |
| 保険関連法 | 2013年金融サービス法 | 保険業法(1995年) |
| 外資保険参入 | 承認制(財務大臣の許可必要) | 免許制(金融庁許可必要) |
| 銀行×保険兼営 | 戦略的提携・持株構造で共存 | 銀行窓販解禁(2007年全面解禁) |
| 大型M&A審査 | 中央銀行 + 財務大臣の二重承認 | 金融庁の認可 |
日本人にとっての意味
東京海上がマレーシアに根を張ることは、在マレーシアの日本人にとっても身近な話です。
- 日系企業の保険加入がしやすくなる可能性:東京海上のマレーシアネットワークが拡大すれば、日系製造業拠点や駐在員向けの法人保険・傷害保険のサポートが充実するかもしれません。
- RHB Insurance加入者は動向に注目:自動車保険や医療保険をRHB Insuranceで契約している方は、統合後に会社名・窓口・証書の扱いが変わる可能性があります。2026年内の発表に注目しましょう。
- マレーシアの金融市場の信頼性:バンクネガラが外資との大型取引を段階的に審査・管理していることは、マレーシアが成熟した金融市場であることの証明でもあります。東南アジアの中でも特に透明性の高い規制環境といえます。
今後6ヶ月の交渉の行方次第で、マレーシアの保険業界地図が塗り替わるかもしれません。日本でおなじみの「東京海上」の名前が、クアラルンプールのオフィスビルに並ぶ日も近いかもしれませんね。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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