リンギット13%上昇!在住者への影響と理由

マネー・生活費

マレーシアで生活していると、日々の買い物や日本への送金で「最近リンギットが強くなった気がする」と感じている方も多いのではないでしょうか。その感覚、正しいんです。マレーシアリンギット(RM)は2023年末から2年半で累計約13%も上昇しています。

今回は、なぜリンギットが強くなっているのか、そして在住日本人にとって何を意味するのかを丁寧に解説します。

リンギットはどれだけ強くなった?

2023年末のリンギットは1RM≒33〜35円程度でしたが、2026年7月28日現在は1RM≈40.1円にまで上昇しています。

時期 1RMの日本円換算(概算)
2023年末 約33〜35円
2025年 約37〜38円
2026年7月 約40.1円

2026年は米ドルが世界的に強くなる局面でも、リンギットは年初来の下落幅が1%未満と踏みとどまり、アジア通貨の中でも「優等生」として注目されています。オンショア外国為替市場の1日平均取引高も2025年の198億ドルから2026年は212億ドル(約867億RM相当)に拡大し、投資家のリンギットへの関心が高まっていることが数字に表れています。

なぜリンギットは上昇しているのか?4つの理由

1. AI・半導体のサプライチェーン再編

米中の貿易摩擦を背景に、製造業のサプライチェーンがマレーシアにシフトしています。いわゆる「チャイナプラスワン(中国+1)」戦略の恩恵であり、ASEAN諸国の中でもマレーシアとシンガポールが最大の受益国です。

日本でいえばバブル期の外資工場誘致ラッシュに近い感覚でしょうか。特に半導体の中流工程(パッケージング・テスト)でマレーシアは世界的なハブとなっており、米中の高度チップ設計競争に直接巻き込まれないポジションが通貨の安定につながっています。

2. データセンター投資によるサービス貿易の黒字化

Google、Microsoft、AWS、NVIDIAなど世界の大手テック企業がマレーシアにデータセンターを大規模建設中。このデジタルインフラ投資が、従来は赤字だったサービス貿易を初めて黒字に転換させました。

ただし、発表済みプロジェクトのうち実際に稼働中のものはまだ全体の2割未満。今後さらなる資本流入が見込まれており、リンギット強化の余地はまだ残っている状況です。

3. 産油国としての地政学的安定性

マレーシアは原油・天然ガスの純輸出国です。ウクライナ情勢や中東の地政学リスクでエネルギー価格が乱れても、その恩恵を受けやすい立場にあります。日本がエネルギー輸入国として通貨安に悩む局面でも、マレーシアは逆の動きをしやすい経済構造を持っています。

4. 債券市場への継続的な海外資本流入

世界的な資産運用が「アクティブ運用からパッシブ運用(インデックス投資)」にシフトする中、マレーシアの固定利回り債券市場に海外資本が継続的に流入しています。外国マネーがリンギット建て資産を購入することで、通貨への需要が生まれ、相場を下支えしています。

日本との比較:円安とリンギット高は「逆張り」の関係

比較項目 マレーシア(RM) 日本(円)
2024〜2026の動き 上昇傾向(+13%) 弱含み(対ドル)
エネルギー 純輸出国(産油国) 純輸入国
半導体・AI 製造拠点として恩恵 設計・材料で対応
外資流入 データセンター・製造業で活発 比較的限定的
主要金利方針 引き締め維持 金利正常化途上

円が弱い局面ほど、マレーシアに住んでRMを稼ぐ日本人にとっては「RM収入の日本円換算額が上がる」という側面があります。一方で日本から生活費を仕送りで賄っている方には逆風になります。

日本人在住者への影響まとめ

リンギット高でトクをするケース

  • マレーシア国内でRMを稼いで日本に送金している人
  • RMを貯めて老後の日本帰国資金を準備している人
  • RM建ての定期預金・株式を保有している人

リンギット高でソンをするケース

  • 日本から送金してマレーシアの生活費を賄っている人
  • 円建ての年金・仕送りを主な収入源としている人
  • 日本からの旅行者(以前より旅費が割高に感じる)

日本人向けメモ

送金タイミングの工夫
RMがさらに上昇する可能性を考えるなら、日本への送金は「早めに」という選択肢があります。ただし為替予測は専門家でも難しく、一度に大きな額を動かすよりも分割送金(ドルコスト平均法的アプローチ)が無難です。

Wise(ワイズ)やRevolut活用
銀行の国際送金は手数料が高め。WiseやRevolutを使うと手数料を抑えつつ、ほぼリアルタイムのレートで両替できます。特に日本への定期送金には便利です。

RM建て定期預金は魅力的
マレーシアの銀行定期預金金利は年2.5〜4.0%程度(日本はほぼ0%)。RMが今後も安定もしくは上昇傾向なら、RM建て定期預金は実質的な為替益+金利収入を狙える選択肢です。

今後の見通しは?

楽観的な材料が並ぶ一方、課題もあります。FTSE Bursa MalaysiaのKLCI(クアラルンプール総合指数)では2019年から2026年の間に企業の1株当たり利益成長率がわずか3.2%にとどまっており、銀行株だけで指数の約40%を占める構成の偏りが指摘されています。株式市場での企業収益成長が伴わなければ、通貨強化の持続性にも限界が出てきます。

とはいえ、AIサプライチェーン再編やデータセンター投資はまだ初期段階。「リンギットはもう一段上があるかもしれない」と見るアナリストも少なくありません。在住日本人にとってこのトレンドはおおむねポジティブなニュースです。日々のレートチェックを習慣にして、送金や両替のベストタイミングをうまく捉えていきましょう。

写真: Mohd Jon Ramlan / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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