マレーシアで働いている方、または現地スタッフを採用している日本人の方——「給与の計算、本当に正しくできていますか?」
日本では月給を実際の出勤日数で割ることが多いですが、マレーシアには雇用法(Employment Act 1955)で定められた独自の計算ルールがあります。知らないと毎月少額ずつ誤った計算が積み重なります。HRから一般従業員まで、必ず押さえておきたい基礎知識をまとめました。
基本公式:日給と時給の計算
マレーシアの給与計算の要は、月給を26で割るというルールです。
| 計算項目 | 公式 |
|---|---|
| 日給 | 月給 ÷ 26 |
| 時給 | 月給 ÷ 26 ÷ 8 |
「なぜ26?」と思うかもしれません。これは1ヶ月を「26営業日」と見なす法定基準で、実際の出勤日数や月の大小に関わらず常に26を使います。日本のように「今月は何日出勤したから…」という計算はしません。シンプルで機械的なルールです。
月給別の日給・時給一覧
| 月給 | 日給(÷26) | 時給(÷208) | 時給の日本円換算 |
|---|---|---|---|
| RM1,700(最低賃金) | RM65.38 | RM8.17 | 約328円 |
| RM2,000 | RM76.92 | RM9.62 | 約387円 |
| RM3,500 | RM134.62 | RM16.83 | 約676円 |
| RM5,000 | RM192.31 | RM24.04 | 約966円 |
| RM8,000 | RM307.69 | RM38.46 | 約1,546円 |
※ 1RM = 40.2円(2026年4月25日時点)
日本の最低賃金(全国加重平均約1,055円、2024年)と比べると、マレーシアの最低時給は約328円と3分の1以下の水準です。ただし家賃・食費など生活コストも大きく異なるため、単純比較は禁物です。
残業代の計算ルール
残業代は時給をベースに倍率をかける方式で、日本と仕組みは近いです。ただし倍率の区分はマレーシア独自です。
マレーシアと日本の残業規定比較
| 区分 | マレーシア | 日本 |
|---|---|---|
| 平日の残業 | 時給 × 1.5倍 | 時給 × 1.25倍(月60時間超は1.5倍) |
| 休日出勤(半日以下) | 半日分の日給を支給 | 時給 × 1.35倍 |
| 休日出勤(半日超・終日) | 1日分の日給を追加支給 | 時給 × 1.35倍 |
| 祝祭日の出勤 | 通常日給+追加2日分(合計3倍相当) | 時給 × 1.35〜1.6倍 |
特に注目したいのが祝祭日出勤の「合計3倍相当」という高い保護水準です。日本の法定休日出勤(1.6倍)と比べると、マレーシアの保護は格段に手厚いといえます。祝祭日は通常どおり日給が支払われたうえで、さらに2日分が追加されます。
計算例(月給RM3,500の場合)
時給は RM3,500 ÷ 26 ÷ 8 = RM16.83 です。
平日に2時間残業した場合の残業代は、RM16.83 × 1.5 × 2時間 = RM50.49(約2,030円) となります。
休日に終日出勤した場合は、追加で1日分の日給 RM134.62(約5,411円) が支払われます。月給とは別に支給されるので給与明細でしっかり確認しましょう。
祝祭日は年17日以上——多民族国家ならでは
マレーシアの法定祝祭日は年間17〜20日(州によって異なる)。日本の16日より多く、ハリラヤ・アイディルフィトリ(イスラム系)、旧正月(中華系)、ディパバリ(インド系)、クリスマス(クリスチャン系)と全民族の主要祭日が法定休日に含まれます。
日本で例えるなら、お正月・お盆・クリスマス・ラマダン明けがすべて法定休日になるようなイメージです。サービス業や製造業では祝祭日出勤の機会も多いため、3倍計算のルールを把握しておくことが直接、給与交渉や労務管理に役立ちます。
日本人向けメモ
マレーシアで雇用に関わる日本人の方へ、特に注意すべき点をまとめます。
- 「26で割る」は法定ルール: 実際の出勤日数で割ると毎月計算ミスが生じます。常に26を使ってください。
- 残業の上限に注意: 1日最大4時間、1ヶ月合計104時間が法定上限です。超過させると雇用法違反になります。
- Rest Day と Public Holiday を混同しない: 週1回の公休日(Rest Day)と法定祝祭日(Public Holiday)では支払い計算が異なります。混同しがちなので注意を。
- 雇用法の適用範囲が拡大: 2023年1月の改正により、原則として月給にかかわらず全従業員に適用されるようになりました。以前の「月給RM2,000以下のみ」というルールはすでに変わっています。
- 給与計算システムの活用: 現地では BetterHR、ADP Malaysia、TimeTec などのクラウド給与計算システムが広く使われています。手計算のミスを防ぐためにも導入を検討する価値があります。
写真: Putra Mahirudin / Unsplash
出典: Leesharing の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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