マレーシアで働いていて、突然「解雇」を告げられたらどうしますか?日本と違い、マレーシアには法律で定められた遣散費(退職補償金)の制度があります。知らないと損をする、在住日本人にとって重要な知識をまとめました。
遣散費(Severance Pay)とは?
マレーシアの雇用法(Employment Act 1955)および退職補償規定(Termination and Layoff Benefits Regulations 1980)に基づき、雇用主の都合で解雇された従業員には遣散費が支払われます。
日本の「退職金」に少し似ていますが、大きな違いは法律で義務化されている点。日本では退職金制度は企業の任意ですが、マレーシアでは条件を満たした解雇であれば、支払いが法的に義務づけられています。中小企業に勤める場合でも確実に守られるのが、マレーシア制度の大きな特徴です。
受給資格
遣散費を受け取るには、以下の条件が必要です:
- 同じ雇用主のもとで継続して12ヶ月以上勤務していること
- 雇用主側の都合による解雇(リストラ・会社都合)であること
- 自己都合退職(辞表提出)は対象外
計算方法
遣散費は「勤続年数 × 日割り賃金」で計算します。日割り賃金は月給 ÷ 26日で算出します。
| 勤続年数 | 1年あたりの支払い日数 |
|---|---|
| 2年未満 | 月給の10日分 |
| 2年以上5年未満 | 月給の15日分 |
| 5年以上 | 月給の20日分 |
計算例
月給 RM 3,000(約120,600円)の社員が3年6ヶ月勤務して解雇された場合:
- 最初の2年分:RM 3,000 ÷ 26日 × 10日 × 2年 = RM 2,308
- 残り1.5年分(2〜5年の区分):RM 3,000 ÷ 26日 × 15日 × 1.5年 = RM 2,596
- 合計:約 RM 4,904(約197,000円、2026年6月2日時点 1RM≈40.2円)
通知期間と代通知金(Payment In Lieu of Notice)
解雇の場合、雇用主には事前通知の義務があります。「今日から来なくていい」という即日解雇は、実は法律違反になるケースが多いのです。
| 勤続年数 | 必要な通知期間 |
|---|---|
| 2年未満 | 4週間 |
| 2年以上5年未満 | 6週間 |
| 5年以上 | 8週間 |
もし雇用主が通知なしに即日解雇した場合、通知期間分の給与を代わりに支払う義務(代通知金)が発生します。つまり、突然「明日から来なくていい」と言われた場合でも、法定通知期間分の給与を請求できます。
これは日本の解雇予告手当(最低30日分の賃金)に相当しますが、マレーシアの場合は勤続年数によって最大8週間分まで保護が手厚くなります。
日本との制度比較
| 項目 | マレーシア | 日本 |
|---|---|---|
| 退職金の法的義務 | あり(雇用法) | なし(企業任意) |
| 受給条件 | 12ヶ月以上勤務+会社都合 | 会社の就業規則による |
| 計算方法 | 勤続年数×日割り賃金(法定) | 会社ごとに異なる |
| 自己都合退職 | 対象外 | 会社規定による(減額あり) |
| 解雇予告期間 | 4〜8週間(法定) | 30日前(労基法) |
日本では大企業ほど退職金が手厚いですが、それはあくまで会社の福利厚生。法律に定めがないため、零細企業では退職金ゼロというケースも珍しくありません。マレーシアは法律で全従業員に最低限の補償を保証する仕組みになっています。
日本人が知っておくべきこと
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就労ビザで働く日本人も対象:Employment Pass(就労ビザ)で働いている場合は、雇用法の保護対象になります。外国人だからといって適用外にはなりません。
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SOCSO(社会保険)との併用も可能:解雇された場合、SOCSO(日本の雇用保険に相当)の失業給付(EIS:Employment Insurance System)も別途受けられる可能性があります。
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遣散費を拒否された場合:雇用主が支払いを拒否した場合は、Industrial Relations Department(産業関係局)や労働局(Labour Department)に申し立てが可能です。泣き寝入りする必要はありません。
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在籍12ヶ月未満は対象外:試用期間中や短期契約の場合は遣散費が発生しないことがあります。入社時に契約期間と試用期間を必ず確認しましょう。
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契約書の通知期間も要チェック:雇用契約書に法定より長い通知期間が定められている場合は、そちらが優先されます。契約書は必ず手元に保管しておきましょう。
いざというときのために制度を知っておくことは、マレーシアで働く上での大切な自己防衛です。突然の解雇通告を受けても、冷静に自分の権利を確認してみてください。
写真: Esmonde Yong / Unsplash
出典: Leesharing の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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