マレーシアで荷物を受け取ったことはありますか?「Pos Malaysia(ポス・マレーシア)」は、日本でいう「日本郵便」にあたる国営郵便サービスです。ところがこの国民的インフラ企業が、なんと8年間(32四半期)連続で赤字を計上し続けているというニュースが2026年8月に発表されました。
2026年第2四半期(4〜6月)の純損失は4,346万リンギット(約16億9,494万円)。一方で売上は前年比9%増の4億8,130万リンギット(約187億7,070万円)と堅調です。「赤字なのに売上は伸びている」という不思議な構図——その背景を日本と比較しながら解説します。
Pos Malaysiaとは?——日本郵便との比較
| 項目 | Pos Malaysia | 日本郵便 |
|---|---|---|
| 設立 | 1800年代(英国植民地時代) | 1871年 |
| 経営形態 | 上場国営企業 | 上場国有企業 |
| 主要サービス | 手紙・小包・ロジスティクス | 手紙・小包・銀行・保険 |
| 近年の業績 | 8年連続赤字 | 黒字(ゆうパック好調) |
| デジタル化 | 進行中(AI活用を宣言) | 電子郵便・マイナンバー連携済み |
日本郵便は「ゆうパック」の配送量増でEコマースの恩恵を受けて黒字を維持しています。一方のPos Malaysiaは売上こそ伸びているものの、コスト構造の問題で黒字転換できていない状況です。
なぜ赤字なのに売上は増えているのか?
内訳を見ると、希望の光が見えてきます。
| セグメント | 状況 |
|---|---|
| 小包事業 | 取扱量+34.3%の急増 |
| 郵便事業 | 収益+3.5%増 |
| 航空・ロジスティクス | 改善傾向 |
| 国際事業 | 外貨収益が940万RM減少(逆風) |
特に注目すべきは小包取扱量の34.3%増という数字です。Shopee(ショッピー)やLazada(ラザダ)といったEコマースプラットフォームの普及により、マレーシアでは宅配便の需要が急拡大しています。日本でいえば、AmazonやYahoo!ショッピングの普及でヤマト運輸の宅急便が急増したのと同じ現象です。
問題はその「儲かるはずの小包ビジネス」でも、人件費・燃料費・設備投資などのコストが膨らみ、利益に結びついていないことです。日本も「再配達問題」でコストが膨らんでいますが、マレーシアでは配送エリアの広大さ(日本の約1.6倍の国土)が物流コストを押し上げる要因になっています。
赤字は縮小トレンドにある
ただし、改善の兆しは確実にあります。
| 期間 | 純損失(RM) | 純損失(円換算) |
|---|---|---|
| 2025年上半期(H1 FY2025) | 8,694万RM | 約33億9,066万円 |
| 2026年上半期(H1 FY2026) | 6,300万RM | 約24億5,700万円 |
| 改善幅 | ▲約2,394万RM | 前年比-27.5% |
損失は着実に縮小しており、上半期の売上も8.1%増の9億8,266万リンギット(約383億2,374万円)を記録しています。会社側も「慎重ながらも楽観的(cautious optimism)」とコメントしており、黒字転換への道筋を描いています。
会社の立て直し戦略
Pos Malaysiaは以下の4本柱で再建を図っています:
- コスト効率化 — 配送ルートの最適化、拠点の見直し
- サービス信頼性向上 — 遅延・紛失問題への対処
- デジタル・AI活用 — 追跡システム改善、業務自動化
- 郵便規制改革 — 政府と協力した事業モデルの見直し
世界中の郵便会社が「手紙離れ」という共通課題に直面しており、「郵便」から「小包・ロジスティクス」へのシフトは避けられない流れです。Pos Malaysiaの黒字転換は、このビジネスモデル転換をどれだけ早く完成させられるかにかかっています。
日本人にとっての意味
マレーシアに住んでいると、Pos Malaysiaを利用する機会は避けられません。現状を踏まえた実用情報をまとめます:
- 荷物追跡の精度: 公式アプリ・サイトで確認できますが、日本の宅配便と比べると追跡精度が低い場合があります。重要な荷物はスクリーンショットを残しておくと安心です
- 民間サービスとの使い分け: 急ぎや高額な荷物はGrabExpress、Lalamoveなど民間配送の利用も検討を
- 国際小包: 日本への荷物発送や日本からの受け取りでもお世話になるサービス。EMS(国際スピード郵便)は引き続き利用可能です
- 倒産リスクは?: 政府支援の国営企業であり、サービスが急停止するリスクは低いと見られています。ただし配送品質の改善は引き続き課題です
8年連続赤字という数字はショッキングですが、小包ビジネスの急成長と損失の縮小トレンドは明るい兆候です。マレーシアのEコマーム熱がPos Malaysiaを変えていく——そんな転換期の只中にあるサービスを、これからも注目していきたいですね。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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