華字メディア大手MEDIACが大変革期へ

マネー・生活費

マレーシアで「中国語の新聞」と言えば、まず名前が挙がるのが China Press(中国報)Nanyang Siang Pau(南洋商報)。これらを傘下に持つ MEDIAC(世華媒体、Media Chinese International) は、マレーシア最大の華字メディアグループです。

在住の日本人の方には「あの中国語新聞の会社」程度の認識かもしれませんが、いまこのMEDIACが大きな岐路を迎えています。

MEDIACとはどんな会社?

MEDIACはマレーシアと香港を拠点とするメディアグループです。日本でいえば朝日新聞や読売新聞のような存在——マレーシアの中国系コミュニティにとって、長年にわたって情報の柱となってきました。

マレーシア事業だけで年間売上高は約 2億5,000万リンギット(約97.5億円 ※1RM=39.0円、2026年8月14日時点) にのぼります。

何が起きているのか

大規模な人員削減

世界的な紙媒体の凋落はMEDIACも例外ではありません。

地域 削減前 削減後 削減率
マレーシア 3,000〜4,000名 約1,800名 約50〜55%減
香港 約1,000名 500名以下 50%超減

日本の大手新聞社でも近年デジタル転換が進んでいますが、これほどの規模のリストラは異例です。

2026年は無配当——2008年以来18年ぶり

株主にとって大きなニュースとなるのが、2026年度の無配当決定です。MEDIACが配当をゼロにするのは、2008年の合併以来初のこと。日本でも「安定配当銘柄」として名高かった新聞・出版各社が無配に転落したケースは記憶に新しいですね。キャッシュを事業転換に集中させるという、経営陣の強い意志の表れと言えます。

3本の柱:MEDIACの再建戦略

戦略 内容
① 資産の再評価・活用 専門機関を起用し保有不動産を全面再評価、売却・活用方針を検討
② コア事業の維持 デジタル・紙媒体の両輪を維持し、既存読者基盤を守り続ける
③ 新規事業の開拓 ビジネスセミナー、広告・コンテンツ制作、研修サービス、中小企業向け採用支援

特に注目は①の「資産再評価」。MEDIACはカナダ・バンクーバーや米国ニューヨーク州フラッシングに不動産を保有しており、条件が合えば売却する方針です。メディア事業の収益低下を不動産の含み益で補填しようという戦略は、経営多角化に動く日本の老舗メディアとも共通する構図です。

新体制始動:トップ交代で新時代へ

2026年8月15日付で、張秋昌(チャン・チューチャン)CEOが第36回株主総会をもって退任。邱佳鈞(クー・カークン)氏が新グループCEOに就任しました。長年のリーダーシップが幕を閉じ、デジタル転換加速への期待が新体制に託されています。

日本人が知っておくべきこと

在住日本人への直接的な影響は限定的ですが、いくつか注目しておきたいポイントがあります。

  • 中小企業向け採用支援サービスの立ち上げを計画中。マレーシアで人材採用に苦労する日系企業にとって、MEDIACのリーチを活用した採用チャネルが新たな選択肢になる可能性があります。
  • ビジネスセミナー・研修サービスは中国系ビジネスネットワークへの接点を探る場として活用できるかもしれません。日本人経営者や駐在員にとっても参加価値があるイベントが増えることが期待されます。
  • デジタルメディアの強化により、マレーシアのビジネス・社会ニュースを英語・中国語でキャッチアップする機会が増える見込みです。

紙の新聞が衰退するなか、MEDIACがどのように「マレーシアの声」を発信し続けるか——その変革の行方は、マレーシアで暮らし、働くすべての人にとって関心を持って見守る価値があります。

写真: ANNIE HATUANH / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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