マレーシアの株式市場(Bursa Malaysia、ブルサ・マレーシア)をウォッチしている方なら、最近話題になっているある企業の名前を耳にしたかもしれません。ハードディスク(HDD)精密部品メーカーのDufu Technology(証券コード:7233)が、2026年第2四半期(4〜6月期)の決算で純利益が前年同期比約4倍という驚異的な好業績を記録しました。
この急成長の背景にあるのは、AIブームがもたらすデータセンター需要の爆発的な増加です。
Dufuとはどんなマレーシアのメーカー?
Dufu Technologyは、ペナン州に製造拠点を構えるHDD精密部品の専門メーカーで、Western Digital、Seagateといった世界大手のHDDメーカーにコンポーネントを供給しています。
日本で例えるなら、TDKやミネベアミツミのような電子・精密部品メーカーが近いイメージです。消費者には直接馴染みがなくても、私たちが使うパソコンやサーバーの中の重要な部品を陰で支えている存在。「縁の下の力持ち」型の優良製造業です。
なぜ今、HDD部品の需要が急増しているのか
「HDDはもう古い技術では?」と思う方もいるかもしれません。スマートフォンやパソコンの分野ではSSDへの移行が進んでいるのは事実です。しかしデータセンター向けHDDの需要は逆に爆発的に増加しています。
その理由はAIです。ChatGPTをはじめとするAIサービスの普及で、世界中のデータセンターが急拡大しています。AIの学習・推論には膨大なデータの保存が必要で、容量あたりのコストではHDDがSSDよりはるかに安いため、大量データの長期保存用途ではHDDが依然として主役です。
日本との比較で言えば、ちょうど日本の鉄鋼メーカーが自動車産業の成長で恩恵を受けるような関係性です。AI(=自動車)の普及が、その「鉄鋼」を担うHDD部品メーカーに追い風を送っているイメージです。
2026年上半期の業績ハイライト
| 項目 | 2025年(前年同期) | 2026年(最新) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| Q2売上高 | 約RM 68.2M(約26.5億円) | RM 92.4M(約35.9億円) | +35.4% |
| Q2純利益 | 約RM 3.5M(約1.4億円) | RM 13.89M(約5.4億円) | 約4倍 |
| 上半期売上高 | 約RM 135.1M(約52.5億円) | RM 168.69M(約65.6億円) | +24.9% |
| 上半期純利益 | 約RM 10.8M(約4.2億円) | RM 21.52M(約8.4億円) | 2倍 |
※1RM=38.9円(2026年8月1日時点)
注目すべきは、売上の伸び(+35%)を純利益の伸び(+4倍)が大幅に上回っていること。これは製造ラインの稼働率が上がり、固定費が売上に対して薄まった「規模の経済」が働いていることを示しています。
China+1戦略という追い風
Dufuの成長をもう一つ支えているのが「China+1戦略」です。
米中対立を背景に、世界的な製造業のリスク分散が加速しています。多くのグローバル企業が「中国だけに製造を依存したくない」と考え、マレーシアを代替拠点として選んでいます。Dufuはマレーシアと中国の両方に生産拠点を持ち、この地政学的な追い風も最大限に活用しています。
ちょうど日本の自動車メーカーが生産をタイやインドネシアにも分散しているのと同じ発想で、Dufuも2極体制でリスクを管理しながら急増する需要に対応しています。
配当情報:株主へのご褒美
Dufuは好決算に合わせて中間配当も発表しました。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 配当金額 | 1株あたり2セン(約0.78円) |
| 権利落ち日(Ex-date) | 2026年8月27日 |
| 配当支払日 | 2026年9月18日 |
※権利落ち日の前日までに株を保有している必要があります。日本の株式投資と同じルールです。
日本人が知っておくべきこと:マレーシア株投資の基本
マレーシア在住の日本人の中には、現地株式市場への投資に興味を持つ方もいますよね。Bursa Malaysiaへの投資を検討する際に知っておくべきポイントをまとめました。
- 証券口座の開設: Maybank Investment Bank、CIMB Securitiesなどが英語対応で開設しやすい。外国人・永住者でも開設可能
- 税制メリット: マレーシアには株のキャピタルゲイン税(売却益への課税)がない(2024年現在)。ただし日本居住者は日本の税法に従う必要があるため、税理士への確認を推奨
- 取引単位: 基本は1ロット=100株単位
- 情報収集: Bursa Malaysiaの公式サイト(英語)や、China Pressなどの華字紙が詳しい
- 為替リスク: リンギット建て取引のため、円とリンギットの為替変動の影響を受ける
※本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。投資は必ず自己判断・自己責任で行ってください。
まとめ:AIブームはマレーシア製造業にも届いている
Dufuの好決算は、個別企業の話に留まりません。AI・クラウドコンピューティング・データセンターというメガトレンドが、マレーシアの精密製造業にも確実に恩恵をもたらしているという大きな流れを示しています。
「AI=ソフトウェアや半導体」というイメージがありますが、その裏側でHDDのような「地味なハードウェア」も急成長しているのが面白いところです。マレーシアで暮らす日本人として、こうした身近な経済ニュースを通じて世界のテクノロジーの潮流を感じ取れるのは、なかなか刺激的ですよね。
写真: Kevin Ache / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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