マレーシアで生活していると、フェイスブックなどのSNSで過激な政治批判記事を目にすることがありませんか?そのような記事を量産していると話題になっているのが、オンラインニュースポータル「The Coverage(ザ・カバレッジ)」です。このサイトをめぐる企業オーナーシップの論争が、マレーシア社会で改めて注目を集めています。
「The Coverage」とはどんなメディアか?
「The Coverage」はマレーシアのオンラインニュースポータルで、法人名「Ace Event 168 Sdn. Bhd.」として商業委員会(SSM:Suruhanjaya Syarikat Malaysia)に登録されています。SSMは日本でいう法務省の商業登記局に相当する機関です。
このサイトで目立つのが、特定の政党や政治家への批判記事の多さ。組織的な「政治攻撃」を行っているとの声も上がっています。
複雑な企業オーナーシップの構造
問題の核心は、The Coverageの株主構成にあります。
| 企業 | 役割 | 備考 |
|---|---|---|
| Ace Event 168 Sdn. Bhd. | The Coverage の運営会社 | — |
| IRR(Idea River Run) | Ace Eventの株式40%を保有 | タン・スリ・ヴィンセント・リー氏が100%所有 |
間接的ではあるものの、マレーシアの有名実業家タン・スリ・ヴィンセント・リー・フォック・ロン氏が、The Coverageに深く関与していると指摘されているのです。
マレーシアの政治背景を理解する
この問題を理解するには、マレーシアの政治構造を知っておく必要があります。
| 政党名 | 略称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 马来西亚华人公会(マレーシア華人公会) | MCA | 与党連合の一角。中国系マレーシア人を代表する歴史ある政党 |
| 民主行動党 | DAP | 野党。多民族主義を掲げる |
タン・スリ・ヴィンセント・リー氏はMCAに数百万リンギットを寄付してきた人物として知られます。The Coverageに関係するShen Yee Aun(シェン・イー・アウン)氏もかつてDAPからMCAへ移籍した経歴を持ちます。
日本でたとえるなら、大手新聞社が特定の政党と近い関係にある構図と似ています。「読売=保守」「朝日=リベラル」という一般的なイメージがあるように、マレーシアでも特定のメディアが特定の政治勢力を支持(または批判)する傾向があります。ただしマレーシアの場合、政治的立場だけでなく民族的背景(中国系・マレー系・インド系)もメディア選択に大きく影響する点が、日本と異なる特徴です。
本人は一貫して関与を否定
タン・スリ・ヴィンセント・リー氏は、The Coverageによる政治的な組織攻撃への関与をあらためて否定しています。
氏が取った行動は以下のとおりです:
- 警察への届け出:The Coverageに関する疑惑について警察に通報
- SSMへの申告:商業委員会にも問題を通知
- 2018年の記録:IRR(自身の会社)がAce Eventから2年間監査報告書を提供されていないとして、当時すでに警察に届け出ていた
2020年には「株主であること」と「MCAの慈善活動への支援」は認めつつも、党員であることやビジネス上の利益を得ていることは否定。「4年前にThe Coverageとは関係を絶った」とも述べていました。今回の論争を受け、新たに警察報告書を提出する方針を示しています。
日本人が知っておくべきこと
この問題は一見ローカル政治の話に見えますが、マレーシアに住む・訪れる日本人にも無関係ではありません。
情報リテラシーの観点から:
– The Coverageのような政治色の強いオンラインメディアの記事は、事実確認なしにSNSで拡散されやすい
– マレーシアのFacebookでは政治的な記事がシェアされやすく、過激な内容がタイムラインを流れることも多い
– 「このサイトは○○寄り」という認識がマレーシア人の間でも広まりつつあり、読者側のリテラシーも向上している
ビジネス・投資の観点から:
– マレーシアでビジネスをする場合、地元メディアの政治的立場を事前に把握しておくことが重要
– 企業の風評被害がSNS拡散型ニュースポータルから広がるケースも増えている
マレーシアのメディア環境は日本とは異なり、企業オーナーシップと政治の結びつきがより可視化されやすい面があります。ニュースを読む際は、どのような背景を持つメディアかを意識する習慣をつけることが、マレーシアでの情報収集の第一歩です。
出典: Cilisos の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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