中華系企業がハラル市場へ挑戦する理由とは

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マレーシアで生活していると、スーパーマーケットの商品棚に「HALAL(ハラル)」認証マークがあふれていることに気づきませんか?イスラム教徒(ムスリム)が国民の約60%を占めるマレーシアでは、ハラル認証は単なる宗教的配慮ではなく、ビジネス成功の鍵となっています。

今回ご紹介するのは、中華系の健康食品・インスタント麺メーカーである許氏企業(Hsu’s Enterprises)が、ハラル市場への本格参入を宣言した話題です。

許氏企業ってどんな会社?

許氏企業は、医薬保健食品や中医薬(中医学に基づく漢方系製品)、インスタント麺などを手がけるマレーシアの上場企業です。もともとは中華系コミュニティ向けの製品が中心でしたが、近年は新たな市場開拓を積極的に進めています。

最新業績:Q3は増収も利益は減少

2026年第3四半期(2026年1月〜3月)の業績が発表されました。

指標 2026年Q3 前年同期比 日本円換算(1RM≈40.2円、2026年6月2日時点)
売上高 RM2,252万 +11.9% 約9億500万円
純利益 RM192万 -28.9% 約7,718万円

四半期単独では売上が約12%増と好調でした。ただし純利益は減少しており、利益率の低い製品の売上比率が高まったことが原因とされています。

9ヵ月累計(2025年7月〜2026年3月)では、売上高がRM6,673万(約26.8億円)と前年比3.7%減、純利益がRM408万(約1.6億円)で前年比30%減と、累計ベースではやや厳しい状況が続いています。

なぜ中華系企業がハラル市場を目指すのか

ここが今回の記事の核心です。マレーシアの人口構成を見ると、その戦略の合理性がよくわかります。

民族グループ 割合 食の制約
マレー系(ブミプトラ) 約57% ハラル認証が必須
中華系 約23% 制約なし(多くは非ムスリム)
インド系 約7% ベジタリアン傾向(ヒンドゥー系)
その他・外国人 約13% 様々

ハラル認証がなければ、全人口の約60%にリーチできないのです。

日本で例えるなら、グローバル展開を目指す食品メーカーがコーシャ(ユダヤ教の食事規定)認証を取得して欧米市場を開拓するケースに似ています。「認証がなければ市場の扉が開かない」という意味でも近いものがあります。

許氏企業の場合、もともと「中医薬(TCM)」という中華系ユーザー向けの商品が強みでした。しかしマレーシアのムスリムコミュニティでも健康・自然志向が高まっており、ハラル認証を取得した漢方・健康食品への需要が生まれています。「中華系の伝統知識 × ハラル認証」という組み合わせが、新市場を開く鍵になる可能性があるのです。

SNSで若者を取り込む戦略

同社はハラル参入と並行して、若い世代向けの新商品開発SNS・デジタルマーケティングの強化も打ち出しています。

マレーシアは35歳以下の人口が全体の約50%を占める若い国。TikTokやInstagramの利用率も非常に高く、食品・健康商品のマーケティングにSNSが欠かせない時代です。

また、政府の中小企業支援プログラム「SARA(Strategic Assistance for Restructuring and Advancement)」の活用も発表されています。日本の「ものづくり補助金」に近いイメージで、マレーシア政府が重点産業の企業を資金・経営の両面でサポートする制度です。

日本人が知っておくべきこと

  • ハラルマーク=全民族OKのサイン:マレーシアでハラル認証のついた商品は、中華系・インド系を含むほぼ全民族が安心して購入できます。お土産を選ぶ際も、ハラル認証があると相手を選ばず渡せて便利です。
  • スーパーで見かけたら注目してみて:Lotus’sやJaya Grocer、AEONの健康食品コーナーを見ると、ハラルマーク付きの漢方系サプリが着実に増えています。中華系メーカーのハラル商品は、マレーシアの多文化融合を象徴する興味深い存在です。
  • ビジネスを学ぶ視点としても:日系企業がマレーシア市場に参入する際も、ハラル認証の取得は避けて通れないテーマです。中華系企業がどうハラル化を進めているかは、マレーシアビジネスを理解する上での好事例といえるでしょう。

マレーシアのビジネス現場では、民族の壁を超えて市場を広げようとする動きが続いています。中華系の伝統知識を活かしながら、ムスリム消費者にもリーチしようとする許氏企業の戦略は、この多民族国家ならではのビジネスモデルを体現しているといえるでしょう。

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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