マレーシア株式市場(Bursa Malaysia)に上場する企業で、取締役6名が一斉に辞任し、解任されていたCEOが復職するという騒動が起きました。日本でもたまに聞く「お家騒動」ですが、マレーシアではどんな形で起きているのでしょうか?在住の日本人投資家やビジネスパーソンも知っておきたい事例をわかりやすく解説します。
何が起きたのか?
2026年3月11日、メインマーケット(東証プライム市場相当)のテクノロジーセクターに上場するNexG(銘柄コード: NEXG, 5216)で、大規模な取締役異動が発表されました。
| 出来事 | 詳細 |
|---|---|
| CEO復職 | 拿督ハニファヌディン氏の職権・役職が取締役会により正式に回復 |
| 集団辞任 | 6名の取締役が「他の関心事を追求するため」として即日辞任 |
| 先行辞任 | 執行取締役・拿督チャン・ロンミン氏も3月8日付で辞任済み |
辞任した6名の取締役は、サイ・アフマド・アタス氏、クナール・テイヤール氏、ラマクリシュナン氏、モハマド・ザフィール・イブラヒム氏、モハマド・フェルーズ氏、バドルシャン氏。一度に7名が取締役を退くという異例の事態です。
背景にある株主対立
この騒動の背景には、大株主グループによる取締役刷新の試みがありました。
CEOのハニファヌディン氏、Velocity Capital Sdn Bhd、そして株主のシティ・ノル・アイシャ氏という、合計10%以上の株式を保有するグループが、臨時株主総会(EGM)の開催を求めていました。目的は既存の取締役7名を解任し、新たに8名の取締役を選任すること。
日本でいえば、大株主が「経営陣を総入れ替えしよう」と株主総会を招集しようとした構図に近いです。
さらに深刻な問題:銀行口座の凍結
今回の騒動をより複雑にしているのが、金融面での問題です。
NexGは2025年11月以降、16の銀行口座が凍結されており、会社はその具体的な理由や正式通知を受け取っていないと主張しています。また、マネーロンダリング(資金洗浄)捜査に関連するとされていますが、調査結果の通知も届いていないとのこと。
会社側はマレーシア警察(PDRM)に対し、凍結決定の再検討を求めています。
| 問題 | 状況 |
|---|---|
| 銀行口座凍結数 | 16口座(2025年11月〜) |
| 凍結理由 | マネーロンダリング捜査との関連が指摘されるも、正式通知なし |
| 会社の対応 | 警察に再審査を要請中 |
マレーシアの株式市場と企業統治
日本との比較
Bursa Malaysia(マレーシア証券取引所)は、日本の東京証券取引所に相当する機関です。
| 項目 | 日本(東証) | マレーシア(Bursa Malaysia) |
|---|---|---|
| メイン市場 | プライム・スタンダード | Main Market |
| 監督機関 | 金融庁・東証 | SC(証券委員会)・Bursa Malaysia |
| コーポレートガバナンスコード | あり | あり(Malaysian Code on CG) |
| 株主総会の招集権 | 5%以上の株主 | 10%以上の株主 |
マレーシアでも、コーポレートガバナンス(企業統治)の重要性は年々高まっています。ただし、オーナー系企業や家族経営の大企業が多く、株主対立や取締役の集団辞任のようなケースが時折起きるのも事実です。
日本人投資家・ビジネスパーソンへのメモ
マレーシア株への投資を考えている方へ:
- Bursa Malaysiaへの外国人の直接投資は原則可能。ただし証券口座の開設はマレーシア国内の証券会社または認定銀行が必要
- 英語でのディスクロージャー(情報開示)が義務付けられており、アニュアルレポートや取引所への開示資料は英語で確認可能
- 銘柄コードは数字4〜5桁(例:NexGは5216)
- 今回のような突発的な経営イベント(取締役大量辞任、口座凍結)はリスク要因として常に意識しておくことが重要
マレーシアでビジネスをしている方へ:
- 取引先企業の財務健全性は、Bursa Malaysiaの開示情報やSSM(商業委員会)のデータで確認できます
- 銀行口座の凍結は、マレーシアではAMLA(マネーロンダリング防止法)に基づく警察権限で実施されることがあります。取引先に異変を感じたら早めに確認を
まとめ
NexGの今回の騒動は、大株主と現経営陣の対立、そして当局の捜査という複数の問題が重なった複雑なケースです。マレーシアの株式市場でも、コーポレートガバナンスに関する問題は日本と同様に起こり得ます。
投資や取引の際は、企業の財務情報だけでなく、こうした「ガバナンスリスク」にも目を向けることが大切です。マレーシアで資産運用やビジネスを考えている日本人の方は、ぜひ参考にしてみてください。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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