マレーシアと言えばパーム油(英語: Palm Oil、マレー語: Minyak Sawit)の国——そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。実は日本のスーパーで見かける食用油やインスタント食品、お菓子の原材料にも、マレーシア産パーム油が数多く使われています。
2026年8月20日、マレーシアの証券会社Taセキュリティーズが、パーム油大手「陳順風資源(TSH Resources、銘柄コード:9059)」の株式評価を「保有継続(Hold)」から「買い(Buy)」に格上げしました。その背景にあるパーム油業界の今を、在住日本人目線で解説します。
TSH Resourcesとは?
陳順風資源(TSH Resources)は、マレーシアとインドネシアで大規模なパーム農園を経営するアグリビジネス企業です。FFB(Fresh Fruit Bunch=パーム新鮮果実房)の栽培から、CPO(Crude Palm Oil=粗パーム油)の搾油まで一貫して手がけます。日本でいうなら「農場から加工工場まで自社で持つ総合農業会社」のようなイメージです。バーサ・マレーシア(マレーシア証券取引所)に上場しています。
格上げの根拠:最新の投資指標
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 現在株価(2026年8月20日) | RM1.22(約48円)※ |
| 目標株価 | RM1.34(約53円)※ |
| 期待上昇率 | 約+9.8% |
| 2027年度予想EPS | 10.3セン |
| PER(株価収益率) | 11.9倍 |
| 配当利回り | 3.3% |
※ 1RM=39.2円(2026年8月20日時点)
日経平均のPERが15〜20倍前後であることを考えると、11.9倍は割安水準です。配当利回り3.3%も、日本のメガバンク定期預金(0.1〜0.3%程度)と比べると際立って高い数字です。
なぜ今、パーム油株が注目されているのか
①輸出需要が堅調
インドや中国など人口大国のパーム油需要が安定して推移しています。食用油としての用途に加え、加工食品・化粧品原料としての需要も広く、価格の下支えとなっています。
②インドネシアのB50バイオディーゼル政策が追い風
隣国インドネシアが推進する「B50政策」をご存じですか?ディーゼル燃料にパーム油由来バイオ燃料を50%混合することを義務付けるもので、パーム油の国内消費量を大幅に底上げすると見込まれています。
日本でもガソリンにエタノール3%を混合する「E3」政策がありますが、インドネシアのB50はその規模が桁違いです。パーム油の大量消費国がさらに使用量を増やすことで、グローバルな需給がタイトになり、価格上昇圧力がかかると予想されています。
③原油高がバイオ燃料の競争力を押し上げ
原油価格が高い水準を維持しているため、代替エネルギーとしてのパーム油バイオディーゼルの競争力が相対的に高まっています。化石燃料の代替としての価値向上が、パーム油価格の底値を支える効果をもたらしています。
「減産・値下がり」でも格上げ——数字の裏側
2026年上半期の業績は一見すると厳しい内容でした。
| 指標 | 前年比変化 |
|---|---|
| FFB(果実房)生産量 | -7% |
| CPO(粗パーム油)平均価格 | -9.6% |
| パームカーネル(核)平均価格 | -2.6% |
| 営業コスト | 削減(改善) |
| インドネシア子会社の搾油効率 | 向上(改善) |
価格も生産量も落ちているのに、なぜ格上げなのか——答えはコスト削減と操業効率の改善にあります。インドネシアの農園では搾油率(採れる油の割合)が向上し、少ない原料からより多くの油を取り出せる体質になっています。「量で稼ぐ」から「質と効率で稼ぐ」構造への転換が、アナリストに評価された形です。
日本人向けメモ:マレーシア株への投資を考えるなら
マレーシアに在住する日本人がバーサ・マレーシアの株式に投資するには、現地対応の証券口座が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な証券会社 | Maybank Investment Bank、CIMB Securities、RHB Investment Bank |
| 口座開設に必要なもの | パスポート+居住許可証(就労ビザ・MM2Hなど) |
| 取引通貨 | リンギット(RM)建て |
| 非居住者の配当課税 | 源泉徴収税15%(要確認) |
| 為替リスク | 円安局面では為替差益の可能性あり |
注意: 本記事は投資アドバイスではありません。投資判断は必ず最新情報の確認と専門家への相談のうえで行ってください。
まとめ
マレーシアを旅すると、高速道路沿いに延々と続くパーム農園の緑を目にすることがあります。その産業が今、インドネシアのバイオ燃料政策という外部要因と、企業の内部効率化というふたつの力で注目を集めています。身近なマレーシア経済の動きとして、頭の片隅に置いておく価値がある話題です。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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