マレーシアのEVの波が、ついに商用車市場にも押し寄せてきました。2026年7月16日、マレーシアの上場企業・順行控股(GIIB、証券コード:7192)の子会社「GIIB PMC」が、中国・吉利汽車グループ傘下の商用EVブランド「Farizon(ファリゾン)」と「CAF Motors」とのMOU(覚書)を締結。西マレーシア全域に商用EV向け「4Sセンター」を展開することが発表されました。
「4Sセンター」って何?日本のディーラーと何が違う?
日本では「正規販売店」「ディーラー」という呼び方が一般的ですが、マレーシアや中国では「4Sセンター」というより包括的なサービス拠点の概念が普及しています。
| S | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| Sales(販売) | 車両の販売 | 商用EV(バン・トラック等)の正規販売 |
| Service(整備) | 点検・修理 | 保証整備・定期点検 |
| Spare Parts(部品) | 純正部品 | EV専用パーツの在庫・供給 |
| Solutions(ソリューション) | 電動化支援 | 充電インフラ設計、テレマティクス、ESGレポート支援 |
4つ目の「Solutions」が最大の特徴です。単に「車を売って直す」だけでなく、企業の配送車・通勤バス・社用車などの電動化プロセスを丸ごとサポートする機能を担います。日本のディーラーにはまだほとんどない機能ですね。
吉利グループとFarizonとは?
吉利汽車(Geely、ジーリー)は、ボルボ・カーズ、ロータス、そしてマレーシア国民車ブランドのプロトンを傘下に持つ中国最大級の自動車グループです。日本でも近年「中国EV大手」として知名度が急上昇しています。
Farizonはその吉利グループが立ち上げた新エネルギー商用車専門ブランドで、宅配・物流・公共交通など「はたらく車」の電動化に特化しています。ヤマト運輸や佐川急便が日本でEVトラックを大量導入しているのと同じような流れが、マレーシアでも始まろうとしているイメージです。
今回の提携——3社の明確な役割分担
| 企業 | 役割 | 担当内容 |
|---|---|---|
| GIIB PMC(順行控股の子会社) | ハブ運営 | 4Sセンターの開発・運営全般 |
| Farizon(吉利グループ傘下) | ブランド・技術提供 | 製品・トレーニング・技術情報の提供 |
| CAF Motors | 販売代理店 | 利益配分・販売目標・在庫・保証の調整 |
メーカー・ブランド・販売網を明確に分離したこの三社連携モデルは、各社が強みを持ち寄る現代的なビジネス構造です。
日本との比較——商用EV普及の「現在地」
| 比較項目 | 日本 | マレーシア(現在) |
|---|---|---|
| 商用EV普及度 | ヤマト・佐川が数千台規模で導入済み | 本格展開前(今回がその起点) |
| 主要ブランド | トヨタ・日産・三菱ふそう | 吉利・BYD・Proton EV |
| 補助金・優遇 | CEV補助金(国・自治体) | 免税・関税優遇(TIB制度) |
| 充電インフラ | 公共急速充電が全国展開済み | 整備途上(4Sセンターが補完予定) |
| サービス体制 | ディーラーが個別対応 | ワンストップ提供(今回の強み) |
日本はすでに「EV物流の実践フェーズ」ですが、マレーシアはまさに「夜明け前」。ただし夜明けが来たとき、インフラを握っているプレイヤーはもう動き始めています。
日本人向けメモ
マレーシアで事業を運営している日系企業の方々に、特に注目してほしいポイントをまとめます。
- 工場・倉庫の配送車や社用バンをEV化したい企業にとって、今後この4Sセンターが一元的な相談窓口になる可能性があります
- ESGレポートの作成義務がある日系企業には、Scope 1(自社排出)削減のための商用EV導入サポートをワンストップで受けられる点が大きなメリットです
- マレーシア株に関心のある方は、順行控股(GIIB、証券コード7192)のEVエコシステム参入が株価にどう織り込まれるか注目する価値があります
マレーシアの商用EV市場はまだ開幕前夜ですが、その「旗手」になろうとする動きはすでに始まっています。今後の4Sセンター開設状況は、マレーシアの脱炭素化の速度を測るバロメーターにもなりそうです。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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