「金(ゴールド)って、もう古い資産じゃないの?」そう思っていた方も多いかもしれません。ところが2025年末、世界の中央銀行準備資産において、金が米国債を正式に抜き去り、世界最大の準備資産となりました。これは現代の金融史において初めての出来事です。
数字で見る「金の逆転劇」
2025年末時点で、世界の中央銀行準備資産の構成比はこうなっています。
| 資産種別 | 準備資産シェア |
|---|---|
| 🥇 金(ゴールド) | 27% |
| 米国債(ドル建て資産) | 22% |
| ユーロ資産 | 上昇中 |
世界の中央銀行が保有する金の総量は36,000トン超。日本の新幹線(N700系)の車両重量が約700トンですから、新幹線50編成以上を金の延べ棒で作れるような量です。
なぜ今、金なのか?2022年が転換点だった
この流れのきっかけは、2022年のロシア・ウクライナ紛争です。米国はロシアのドル建て外貨準備を凍結しました。この出来事が世界中の中央銀行に大きな衝撃を走らせました。
「いつか自分たちの準備資産も凍結されるかもしれない」
そう考えた各国が一斉に金の積み上げに動いたのです。金は国境を越えた実物資産であり、どこかの国の政府が「没収」することは事実上できません。
日本でいえば、銀行預金は「日本政府・日本円」に紐づいていますよね。でも金の延べ棒は、政府が変わっても、為替が動いても、物理的にそこに存在し続けます。中央銀行たちはまさにその「実物の安心感」を買っているのです。
各国中央銀行の金購入ランキング(2025年)
2025年の中央銀行による金の純購入量は約850トン(過去2年の年間1,000トン超からはやや鈍化)。購入上位4カ国はこちらです。
| 順位 | 国 | 購入の背景 |
|---|---|---|
| 1位 | 中国 | ドル依存からの脱却戦略 |
| 2位 | ポーランド | NATO加盟国でも地政学リスクへの備え |
| 3位 | トルコ | リラ安・インフレへの対策 |
| 4位 | インド | 外貨準備の多様化 |
アジア勢ではインドと中国が積極的。マレーシアとも経済的に深く結びついた両国の動きは、東南アジアの金融市場にも間接的な影響を与えます。
仮想通貨企業・Tetherまでが金を大量購入
注目すべきは、米ドルにペッグした暗号通貨ステーブルコイン(価値が安定した仮想通貨)を発行する企業「テザー社」が、2025年に100トン超の金を購入したことです。多くの主権国家の中央銀行をも上回る世界最大の個人バイヤーになりました。
デジタル通貨の世界でさえ、最終的な担保として「金」を選んでいる。これは非常に象徴的な出来事です。
金価格はどこまで上がったか
2026年1月時点で、金価格は1オンス=5,595米ドルに到達しました。
| 通貨 | 金価格(1オンス) |
|---|---|
| 米ドル | $5,595 |
| マレーシアリンギット | RM22,274 |
| 日本円(1RM=40.3円、2026年6月3日時点) | 約89万7,000円 |
日本の田中貴金属などで売られる金の小売価格(1g換算)は2026年時点で約1万8,000円前後。庶民にはなかなか手が届きにくい水準になっています。
日本人が知っておくべきこと
ドルはまだ強い、でも変化は始まっている
米ドルは依然として世界の通貨準備の42%を占めており、「基軸通貨」の地位は維持しています。ただし、数十年前の60〜70%台からは大幅に低下してきました。一方、ユーロは2025年に8,500億ユーロの純流入を記録し、歴史的高水準に近づいています。
マレーシアに住む日本人への実用メモ
- 円安リスクの再確認: 日本円も米ドルも、金に対して相対的に価値が下がり続けています。日本から仕送りを受けている方、日本に資産を残している方は、長期的な資産の分散を考えてみる価値があります
- マレーシアで金を買うには: クアラルンプールのゴールドスーク(Gold Souk、ブキット・ビンタンやアンパンエリア)のほか、MayBank・Public Bank・CIMB銀行の金口座(Gold Investment Account) でオンラインから手軽に購入できます。最低投資額は数リンギットからで、日本の金積み立てに近いイメージです
- リンギットの動向: マレーシアは産油国かつ資源輸出国として比較的安定した通貨基盤を持ちます。ドル離れの流れはリンギットに直接的な恩恵をもたらす可能性もあります
世界のお金の仕組みが、静かに、しかし確実に変わりつつあります。在マレーシアの日本人にとっても、円・ドル・リンギットの三角関係を意識しながら資産を管理することが、これまで以上に大切になってきているかもしれませんね。
写真: Jingming Pan / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

コメント