増収でも減益?パーム油大手UPの2026年Q1

マネー・生活費

食品の成分表示に「パーム油」「植物油脂」という文字を見たことはありませんか?スナック菓子、インスタントラーメン、マーガリン、石鹸……実は私たちの日常生活に深く入り込んでいるこの油、マレーシアが世界第2位の産地なのです。

今回は、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)に上場するパーム油大手 United Plantations(ユナイテッド・プランテーションズ、証券コード:UTDPLT/2089) の2026年第1四半期(1〜3月期)決算をもとに、マレーシアのパーム油産業の今をお伝えします。


United Plantations(UP)とはどんな会社?

United Plantations は1906年創業のデンマーク系マレーシア企業で、粗パーム油(CPO)とパーム核油(PKO)の生産・加工を手がける老舗農園企業です。ペラ州(Perak)とジョホール州(Johor)に広大なプランテーションを保有し、持続可能な農業経営で知られています。

日本でいえば「老舗の農業法人が東証に上場している」ようなイメージです。自ら農地を持って原料を生産し、それを加工・販売まで一貫して手がけるスタイルです。


2026年Q1決算:増収でも減益のカラクリ

項目 2026年Q1 日本円換算 2025年Q1 前年比
売上高 RM 640.58百万 約257.5億円 RM 517.63百万(約208.1億円) +24%
純利益 RM 160.65百万 約64.6億円 RM 163.26百万(約65.6億円) ▲1.6%
粗パーム油生産量 ▲8.9%
パーム核油生産量 ▲1.9%

※1RM = 40.2円(2026年4月27日時点)

「売上が24%増えているのに、利益がわずかに下がった」という一見不思議な結果です。その理由はシンプルで、生産量が減ったからです。

粗パーム油の生産量は前年比8.9%減、パーム核油も1.9%減。これは通常、雨量の偏りや収穫サイクルによるもので、農業ビジネス特有のリスクです。日本でいえば「米の豊作・凶作で農協の収益が変わる」のと似た構造ですね。一方で売上が大幅増となったのは、原油価格やバイオディーゼル需要が単価を押し上げたためです。


パーム油って何に使われているの?

日本ではあまり意識されませんが、パーム油は世界で最も消費されている植物油のひとつ。大豆油に次ぐ生産量を誇り、実は私たちの生活に深く関わっています。

用途 具体的な製品 日本での身近な例
食品加工 スナック菓子・マーガリン・カップ麺 コンビニのポテチや即席麺
化粧品・日用品 石鹸・シャンプー・口紅 ドラッグストアの日用品
バイオ燃料 バイオディーゼル燃料 軽油・重油の代替
工業用 潤滑油・ろうそく・塗料 産業用途全般

スーパーでお菓子の原材料欄を見ると「植物油脂」と書かれているものが多くありますが、その多くにパーム油が含まれています。日本はマレーシアから相当量のパーム油を輸入しており、知らないうちにマレーシア産の油を口にしているわけです。


注目:バイオディーゼル政策が業績の追い風に

United Plantations の経営陣は「現在の粗パーム油価格とバイオディーゼル需要の見通しに基づき、今年は満足のいく業績を期待している」とコメントしています。

マレーシアは段階的に B20政策(ディーゼル燃料の20%をパーム油由来のバイオディーゼルで代替する義務)を拡大中です。日本でガソリンにバイオエタノールを混ぜる「E10」政策に似た取り組みですが、規模はさらに大きく、農園企業の収益に直結しています。この政策がパーム油の国内需要を底上げし、輸出価格にも好影響を与えているのです。


日本人投資家・在住者向けメモ

マレーシア株投資に興味がある方へ:
– UTDPLT(コード: 2089)はBursa Malaysiaに上場。農園セクターを代表する大型株
– パーム油価格・原油価格・バイオ燃料政策の3つが業績を左右するため、その動向を追うと見通しが立てやすい
– RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証取得済みで、ESG投資家からも注目される銘柄

在住者として知っておくべきこと:
– マレーシアのスーパーでは食用パーム油(現地語: minyak masak)がRM3〜4(約120〜160円)程度で販売されており、日常的な調理油として広く使われている
– バイオディーゼル政策により、ガソリンスタンドで販売される軽油の成分比率が変化しつつある
– プランテーション産業はマレーシア経済の基幹産業のひとつで、農村部の雇用を長年支えてきた


パーム油をめぐっては熱帯雨林破壊との関連など環境面での議論もありますが、それだけマレーシア経済と世界の食卓に深く根付いているということでもあります。次にスーパーで食品を手に取ったとき、ぜひ原材料欄を確認してみてください。マレーシアとの意外な繋がりが見つかるかもしれませんよ。

写真: Chef Nae / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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