マレーシアで働いていて「有給を申請したら渋られた」「残業代がちゃんと出ない」と感じたことはありませんか?実は、マレーシアには雇用法(Employment Act 1955)という労働者を守る法律があり、2022年の大改正を経て2026年も重要なポイントが更新されています。知らないと損をするのは従業員側。今回は、日本との比較を交えながら、マレーシアで働く人が知っておくべき権利をわかりやすく解説します。
マレーシア雇用法の基本:日本の労働基準法との違い
日本では「労働基準法」が労働者の最低基準を定めていますが、マレーシアではEmployment Act 1955(雇用法)がその役割を担っています。2022年の改正で、以前は月給RM2,000以下の従業員にしか適用されなかった保護が、給与額に関係なく全従業員に拡大されました。これは日本の労基法が正社員・パート問わず適用されるのと同様の方向性です。
主要な従業員権利:日本との比較表
| 項目 | マレーシア(雇用法) | 日本(労働基準法) |
|---|---|---|
| 年次有給休暇 | 勤続1年未満:8日、1〜2年:12日、2年超:16日 | 勤続6ヶ月:10日〜最大20日 |
| 病気休暇(入院不要) | 勤続1年未満:14日、1〜2年:18日、2年超:22日 | 法定なし(会社独自制度) |
| 産休 | 98日(約14週) | 産前6週+産後8週(約14週) |
| 育児休暇(父親) | 7日 | 最大28日(育休制度別途) |
| 残業割増率 | 平日1.5倍、休日2.0倍、祝日3.0倍 | 1.25倍〜1.5倍 |
| 最低賃金 | RM1,700/月(約67,320円) | 地域別(東京:約185,000円/月) |
※為替レート:1RM=39.6円(2026年4月5日時点)
2026年の注目ポイント:フレキシブルワーク申請権
2023年の改正で導入されたフレキシブルワーキングアレンジメント(FWA)申請権が、2026年も引き続き注目されています。従業員は雇用主に対して、勤務時間・勤務日・勤務場所の変更を正式に申請できるようになりました。
日本との違い: 日本でもテレワーク申請はできますが、法的な義務規定はありません。マレーシアの場合、雇用主は60日以内に回答する義務があり、拒否する場合は書面での理由説明が求められます。
残業代の計算方法(日本人が間違えやすいポイント)
残業代の計算式は以下の通りです:
残業時給 = 月給 ÷ 26日 ÷ 1日の所定労働時間(通常8時間)
例:月給RM3,000の場合
– 通常残業時給:RM3,000 ÷ 26 ÷ 8 × 1.5 = RM21.63(約856円)/時
日本では月給制の場合、残業代計算の分母は「月平均所定労働時間」を使いますが、マレーシアでは26日固定が基本です。
解雇・退職金のルール
| 勤続年数 | 退職金(Retrenchment Benefits) |
|---|---|
| 1〜2年 | 月給の10日分 |
| 2〜5年 | 月給の15日分 |
| 5年超 | 月給の20日分 |
これは会社都合退職(リストラ)の場合に適用されます。日本の退職金制度とは異なり、自己都合退職には適用されません。また、正当な理由なき解雇(Unfair Dismissal)は産業裁判所(Industrial Court)に申し立てが可能です。
日本人向けメモ:マレーシアで働く際に知っておくべきこと
1. 雇用契約書は必ず確認を
雇用法の基準はあくまで「最低基準」。会社が独自にそれ以上の条件を設けることは問題ありませんが、以下の記載が揃っているか確認しましょう。
– 月給・ボーナス条件
– 有給・病気休暇の日数
– 残業代の計算方法
– 解雇予告期間
2. EPF(従業員積立金)は日本の厚生年金に相当
マレーシアでは給与の11%(従業員)+12〜13%(雇用主)がEPF(Employees Provident Fund)に積み立てられます。日本の厚生年金が労使折半なのに対し、マレーシアは雇用主負担の方がやや多いのが特徴です。
3. 違反に気づいたら
雇用主が雇用法に違反している場合、労働局(Jabatan Tenaga Kerja / JTK)に相談できます。マレーシア全国に事務所があり、外国人労働者も申し立てが可能です。
4. 外国人就労者への適用
就労ビザ(Employment Pass)を持つ外国人もマレーシアの雇用法の保護対象です。「外国人だから適用外」は誤りなので、不当な扱いを受けた場合はためらわずに相談を。
まとめ
マレーシアの労働法は、近年の改正で日本に近い水準の保護が整備されつつあります。ただし、知らなければ権利は行使できません。特に赴任直後の方や転職を検討中の方は、雇用契約書の確認と基本権利の把握を忘れずに。自分の権利を知ることが、マレーシアでの働きやすい環境づくりの第一歩です。
写真: Mimi Thian / Unsplash
出典: Leesharing の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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