夢のスキーリゾート建設、地政学リスクで白紙に
中東情勢が、マレーシアの建設株に直撃しました。マレーシア建設大手のセンダイ(SENDAI、銘柄コード:5205)は、サウジアラビアの大型プロジェクト向け建設契約が2026年3月26日付で正式に終了したと発表しました。
NEOM「トロジェナ」プロジェクトとは?
日本ではあまり知られていませんが、NEOM(ネオム)はサウジアラビア政府が推進する超大型「未来都市開発計画」です。砂漠の中に直線都市「ザ・ライン」を建設するプロジェクトで、その一部であるトロジェナ(Trojena)は、標高2,400メートル以上の山岳地帯に建設予定のスキーリゾート。2029年にはアジア冬季競技大会の開催も予定されていた、まさに「砂漠のスキー場」です。
センダイは2024年3月、サウジの建設会社アル・バワニ(Al Bawani)との間で、このトロジェナのスキービレッジ向けに鉄骨構造物の建設契約を締結。受注時は大きな話題となりました。
終了の理由は「西アジアの地政学的状況」
センダイが開示した理由は「現在の西アジアにおける地政学的状況」。ガザ紛争に端を発した中東全体の不安定化が、巨大プロジェクトにも影を落としている形です。
日本で例えるなら、バブル期に契約した大型海外工事が突然キャンセルになった——そんなイメージに近いかもしれません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手方 | Al Bawani(サウジ Arabia) |
| プロジェクト | NEOM トロジェナ スキービレッジ 鉄骨構造 |
| 契約締結 | 2024年3月 |
| 契約終了 | 2026年3月26日 |
| 終了理由 | 西アジアの地政学的情勢 |
センダイの現状:受注残は200億RM超
気になるのは、今後の影響です。センダイは以下のような受注状況を開示しています。
| 指標 | 金額(RM) | 日本円換算(1RM≒33円) |
|---|---|---|
| 現在の受注残(オーダーブック) | 20億2,000万RM | 約666億円 |
| 入札中案件(テンダーブック) | 184億RM | 約6,072億円 |
オーダーブックだけで660億円以上を抱えており、1案件の終了が即・経営危機につながるわけではありません。同社は「西アジアでの事業は引き続き安定しており、新たな案件を積み上げていく」とコメントしています。
また、今回の終了に伴い、補償金・撤収費用(デモビリゼーション費用)の請求も行っていくとのこと。日本の建設業でいえば、設計変更や施主都合のキャンセルに対する「変更補償」に相当する交渉です。
日本人投資家・在住者が知っておくべきこと
センダイはマレーシア株式市場(バーサ・マレーシア)に上場している建設株です。マレーシアに在住・投資している日本人にとって、この件は以下の観点から注目に値します。
1. 地政学リスクとマレーシア企業の海外受注
マレーシアの建設・インフラ企業は近年、中東・アフリカ・東南アジア各国への海外展開を積極化しています。日本のゼネコン(大林組・清水建設等)が海外工事でリスクを抱えるのと同様、マレーシア企業も地政学リスクに無縁ではありません。
2. NEOM計画の先行きへの影響
トロジェナだけでなく、NEOM全体の資金調達や工事進捗も中東情勢で不透明感が増しています。同プロジェクトに関連する企業への投資判断には注意が必要です。
3. 補償交渉の行方
損失の一部は補償交渉によって回収される可能性があります。進捗は今後の開示情報に注目です。
マレーシアという国が、中東や世界の情勢といかに深くつながっているか——こうしたニュースからも読み取れます。在住者として、ローカルメディアを通じてこうした動向をウォッチしておくことは、生活の安定や投資判断にも役立ちます。
写真: Ibrahim Abdullah / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。>


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