「金(ゴールド)」と聞いて、アクセサリーやジュエリーを思い浮かべる方も多いかもしれません。でも実は、金は国家経済の「最後の砦」とも言える重要な資産なのです。世界中の中央銀行が大量の金を保有し、通貨の信頼性を支えています。では、世界で最も多くの金を持っているのはどの国でしょうか?そしてマレーシアはどうなのでしょう?
世界の金保有量ランキング(2026年初時点)
| 順位 | 国 | 保有量(トン) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 🇺🇸 アメリカ | 8,133 | 2位の約1.4倍、圧倒的首位 |
| 2位 | 🇩🇪 ドイツ | 3,362 | 欧州最大の保有国 |
| 3位 | 🇮🇹 イタリア | 2,451 | 外貨準備の約67%が金 |
| 4位 | 🇫🇷 フランス | 2,436 | 独立系の外貨戦略 |
| 5位 | 🇷🇺 ロシア | 2,300+ | 近年急速に積み増し中 |
| 6位 | 🇨🇳 中国 | 2,264(公式) | 実際はさらに多い可能性あり |
トップ5がすべてアメリカ・ヨーロッパ諸国というのは、近現代の経済覇権の歴史を色濃く反映しています。
日本と比べると?
気になる日本の金保有量は約845トン(世界8位前後)。「世界第3位の経済大国なのに8位?」と感じる方もいるかもしれません。日本はドル建ての米国債を大量に保有することで外貨準備を確保してきた歴史があります。一方、近年は米ドル一極集中のリスクが議論され始めており、金保有の戦略的な重要性が改めて見直されています。
金価格を1トンあたり約3,000ドル/オンスで換算すると、アメリカが保有する8,133トンは日本円で約73兆円相当。日本の国家予算(約110兆円)にも迫る規模です。
「脱ドル化」の流れ — 中国・ロシアの戦略
注目すべきは中国とロシアの動きです。中国の公式発表では2,264トンですが、専門家の間では「実際はそれをはるかに上回るのでは」という見方が広がっています。
日本でいうなら「タンス預金」のように、国家レベルで金を密かに積み上げているのではという疑惑です。
両国が金の保有を増やしている背景には、米ドルへの依存を意図的に減らしたいという地政学的な戦略があります。国際貿易における米国の影響力を弱め、独自の経済圏を確立するための「切り札」として金を活用しているのです。
マレーシアの金保有量も着実に増加中
マレーシアも例外ではありません。2026年3月末時点で、マレーシアの金保有額は約64億米ドルに達し、前月比で約3億米ドル増加しました。
| 通貨 | 金額 |
|---|---|
| 米ドル | 約64億ドル |
| マレーシアリンギット | 約258億RM |
| 日本円換算(1RM≈39.6円、2026年4月7日時点) | 約1兆218億円 |
グローバルな金融不安が続く中、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia / BNM)も外貨準備の多様化の一環として金を積み増し、リンギットの安定を支えています。
なぜ国家は金を持つのか?
金が各国中央銀行に重視される理由は主に3つです。
- 通貨の信用を支える: 金は特定の国の政策や経済状況に左右されない。ドルが急落しても、金の価値は独立して保たれる
- 危機時の「最後の決済手段」: 戦争、金融危機、経済制裁など、あらゆる有事の場面で金は信頼の根拠になる
- リスク分散: ドル依存を減らし、外貨準備を安定化させるための重要な手段
日本に例えるなら、「現金一択ではなく、不動産や株式にも分散して資産を守る」個人の資産管理と同じ発想です。国家も通貨リスクを分散するために金を活用しているのです。
日本人向けメモ
- マレーシアでも金投資は身近: Public BankやMaybankなどの銀行が「ゴールドアカウント」(金積立口座)を提供。手軽に金への分散投資が可能
- 中華系商店街には金ショップが多い: クアラルンプールのパサール・スニやプタリン・ストリートには999純金のジュエリーや金塊を扱う専門店が集中。購入の際は公式認定店を選ぶこと
- リンギットの安定とも無関係ではない: 中央銀行の金保有増加はリンギットの国際的な信用向上につながるため、在住日本人にとっても日常生活に影響する話題
- 為替リスクのヘッジとして: リンギットと円の両方を持つ在住日本人にとって、金はどちらの通貨が下落しても価値を保つ資産として選択肢になり得る
世界各国が地政学リスクや米ドル依存への懸念を背景に金の保有を増やす中、マレーシアも着実にその備えを強化しています。マレーシアの商店街で金ショップを目にしたとき、「これは個人だけでなく、国家戦略と同じ発想なんだ」と思うと、少し見え方が変わってきますよね。
写真: Scottsdale Mint / Unsplash
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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