マレーシアのラジオ局No.1争い、実は両方本物?

生活・文化

「マレーシアNo.1ラジオ局」を名乗る局が2つある——そんな不思議な状況をご存知でしたか?

車社会のマレーシアでは、通勤中にラジオを聴く文化が根強く残っています。日本でもFMラジオや「radikoプレミアム」が親しまれていますが、マレーシアのラジオ事情は少し複雑です。同じ国で「自分たちが1位」と主張する局が複数存在するのです。

ERA FMとHuat FM、どちらが本当のNo.1?

マレーシアのラジオ業界では、ERA FM(Astro Audio運営)とHuat FM(Media Pro Max運営)が熾烈な「1位争い」を繰り広げています。驚くことに、両局とも「嘘をついているわけではない」のです。

答えは使っている調査会社が違うから。

項目 ERA FM側 Huat FM側
調査会社 GfK(RAM調査) Nielsen(CMV調査)
調査規模 年2回・6,000人 年1回・16,000人超
調査手法 7日間ラジオ聴取日記 ライフスタイル全般のインタビュー
業界標準指定 ✅ CRM公式採用(2016年〜) ❌ 非公式
採用局数 17局(21局中) 4局(Media Pro Max系のみ)

「業界標準」があっても強制力はない

マレーシアのラジオ業界団体Commercial Radio Malaysia(CRM)は2016年にGfKのRAM調査を公式標準として採用しました。しかし、これは「ガイドライン」であり、法的強制力はありません。

さらに厄介なのは、現CRM会長がMedia Pro MaxのCEOを兼任しているという利益相反の問題。「審判が選手のチームオーナーでもある」ような状況で、業界全体での統一基準の浸透は難しいのが現状です。

日本でいえば、NHKと民放各局が「視聴率調査をビデオリサーチとニールセンで別々に行い、それぞれが『自分たちが1位』と主張している」ようなイメージです。

なぜこんなことが起きるのか——広告費をめぐる争い

ラジオ局にとって「No.1」の称号は単なる名誉ではありません。広告主からの出稿量に直結する重要なビジネス指標です。

マレーシアのラジオ業界は近年、以下のメディアとの競争で広告収入が減少傾向にあります。

  • Spotify(音楽ストリーミング)
  • Podcast(話題のコンテンツ)
  • YouTube(動画+音声)

「聴いている人の数自体は安定しているのに、広告費は落ちている」という苦しい状況の中で、各局が少しでも有利なデータを使いたいのは自然な流れとも言えます。

日本人が知っておくべきこと

マレーシアに在住・旅行中の日本人にとって、このラジオ論争はどんな意味があるでしょうか?

  • ドライブ中のラジオ: 車でラジオをかけると、ERA FMもHuat FMも英語・中国語・マレー語のミックスで流れています。日本語がわからなくても楽しめる音楽番組が多いです
  • メディアリテラシーの教訓: マレーシアでは「No.1」「Best」「#1」という宣伝文句が溢れています。「どの調査による?」と問い返す習慣が現地生活では役立ちます
  • Spotifyが実は主流: 若い世代はすでにラジオよりSpotifyやPodcastを好む傾向があり、渋滞中の車でもBluetoothでストリーミングを使う人が増えています

どちらの「No.1」を信じるかは、あなた次第——それがマレーシアのラジオ事情の面白いところです。

写真: Kishor / Unsplash

出典: Cilisos.my の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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