マクドナルドがラマダンに300モスクへ食事提供

生活・文化

マレーシアに住んでいると、毎年ラマダン(断食月)の時期になると街の雰囲気がガラッと変わるのを感じませんか?夕方になると路上や広場に並ぶバザール・ラマダン(断食明けの屋台市)、日没とともに聞こえるアザーン(礼拝の呼びかけ)……。マレーシアのラマダンは、単なる宗教的慣行を超えた、コミュニティ全体の祭りのような雰囲気があります。

そのラマダン期間、マレーシアのマクドナルドが全国規模の社会貢献活動を展開し、地域コミュニティへの支援を続けていることをご存知でしょうか?

全国300ヶ所のモスクに「モレ」を無償提供

今年のラマダン期間中、マクドナルド・マレーシアは全国300ヶ所以上のモスクおよび礼拝室に対して、モレ(Moreh)と呼ばれる夜食を無償提供しました。

「モレ」という言葉、聞き慣れないかもしれません。マレーシアのラマダンにはいくつかの食事タイムがあります。

時間帯 名称 内容
夜明け前 サフール(Sahur) 断食開始前の最後の食事
日没直後 イフタール(Iftar / Berbuka Puasa) 断食明けの食事。バザールが大盛況
夜の礼拝後 モレ(Moreh) タラウィーフ礼拝後の軽食・夜食

モレは、夜のタラウィーフ礼拝(ラマダン中の特別な夜間礼拝)を終えた後に、モスクや礼拝室で信徒たちが集って食べる軽食です。コミュニティの絆を深める場でもあり、老若男女が輪になって食事をともにします。

日本でいうなら、初詣の後のお汁粉の振る舞いや、お祭りの後の直会(なおらい)に近い雰囲気でしょうか。マクドナルドがその場に食事を届けることで、信仰の場に馴染んだ形で地域貢献を行っているわけです。

孤児院の子どもたちとのイフタール会食

モスクへの食事提供だけでなく、マクドナルドは孤児院の子どもたちを招いたイフタール(断食明け会食)も開催しました。

イフタールとは、日没とともに断食が明けた瞬間に食べる最初の食事のこと。断食をしていない人や非ムスリムも招待されることが多く、「みんなで食卓を囲む」という意味合いが強い場です。

日本の感覚では、クリスマスにボランティアが施設の子どもたちをパーティーに招く場面に近いかもしれません。ただラマダンのイフタールには、より深い「感謝」と「分かち合い」の精神が込められています。断食によって空腹の辛さを体験し、食べられない人への思いやりを育む——その精神がこういった慈善活動の根底にあります。

マクドナルド・ハウス・マレーシアへのケアパッケージ

あまり知られていないかもしれませんが、マクドナルド・マレーシアはマクドナルド・ハウス・マレーシア(McDonald’s House Malaysia)という慈善施設を運営しています。

これは病院で長期治療を受ける子どもたちの家族が安価に宿泊できる施設で、日本にも「ドナルド・マクドナルド・ハウス」として同様の施設があります。治療で辛い思いをしている子どもたちとその家族へ、今年のラマダンではラマダン・ケアパッケージが配布されました。

子どもたちのアートが「ハリラヤ・パケット」に

さらに今年は、マクドナルド・ハウスの子どもたちが描いたアートをデザインに使った特別仕様の赤いパケット(お年玉袋)が制作・配布されました。

「赤いパケット(Red Packet)」は中国旧正月のお年玉袋(紅包・アンパオ)が由来ですが、マレーシアではラマダン明けのお祝い「ハリラヤ・エイドゥル・フィトル(Hari Raya Aidilfitri)」にも、お金を入れた袋を贈る文化があります。

行事 袋の名前 代表的な色 日本でいうと
中国旧正月(春節) 紅包(アンパオ) 赤・金 お年玉袋
ハリラヤ(ラマダン明け) パケット・ハリラヤ 緑・金 ムスリム版お年玉袋

子どもたちのアートが袋のデザインになるのは、日本で子どもの作品が記念切手になる感覚に近いでしょうか。闘病中の子どもたちの表現が全国に届くという、温かいエピソードです。

日本人が知っておくべきこと

ラマダン中のマレーシア生活

  • レストランは基本通常営業: 非ムスリム向けの飲食店は昼間も開いています。ただし一部モールの飲食エリアは縮小されることも
  • バザール・ラマダンは観光スポット: 夕方4〜5時頃から各地に現れる屋台市は非ムスリムも楽しめます。ナシレマ(Nasi Lemak)やアイスカチャン(ABC)など、マレー料理を手軽に試せる絶好の機会
  • 日没前後のファストフードは大混雑: マクドナルドやKFCはイフタール時間(日没18〜19時前後)に大行列。夕食は時間をずらすか、事前にGrabFood(デリバリーアプリ)で注文するのがおすすめ
  • ハリラヤ連休に注意: ラマダン明けのハリラヤは大型連休。スーパーが混雑し、一部の店舗・政府窓口は休業します。事前に食料・生活用品を備蓄しておくと安心です

多民族国家ならではのCSRの形

マレーシアのマクドナルドが宗教行事に寄り添った社会貢献活動を行う背景には、マレー系・中華系・インド系が共存する多民族社会の特性があります。特定の民族・宗教に偏らず、それぞれのコミュニティに根ざした関わり方をすることが、企業としての信頼につながっているのです。

ラマダンの季節は特に、普段とは違うマレーシアの顔を感じられる時期です。バザール・ラマダンに足を運んだり、ムスリムの友人・同僚からハリラヤに招待されたりする機会があれば、ぜひ参加してみてください。「分かち合い」を大切にするマレーシアの文化に、きっと心が温かくなるはずですよ。

写真: Umar ben / Unsplash

出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。

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