マレーシアや日本でも大人気のキャラクターフィギュア「Labubu(ラブブ)」。あのぬいぐるみを手掛けるポップマート(泡泡玛特、Pop Mart)が、2025年8月に香港株式市場で過去最高値をつけたにもかかわらず、わずか半年余りで株価が60%近く暴落したことが大きな話題となっています。絶好調の業績の裏に何が潜んでいたのでしょうか?
ポップマートとは?──ブラインドボックスの帝国
ポップマートは2010年創業の中国発アートトイ企業です。「ブラインドボックス(blind box)」と呼ばれる、外から中身が見えないランダム封入の玩具が主力商品。日本でいう「ガチャガチャ(カプセルトイ)」に近い仕組みですが、価格帯やブランドイメージはより高級志向で、大人のコレクターをターゲットにしています。
| 比較項目 | 日本のガチャガチャ | ポップマートのブラインドボックス |
|---|---|---|
| 価格帯 | 200〜500円 | RM59.90〜(約2,360円〜) |
| 主なターゲット | 子ども〜大人 | 主に18〜35歳の大人 |
| 購入場所 | 駅・商業施設 | 専門店・EC・自動販売機 |
| キャラクター | アニメ・ゲームIP中心 | アートトイ・オリジナルキャラ |
| コレクター需要 | あり | 非常に強い |
株価の軌跡──頂点から奈落へ
ポップマートの株価は2025年8月に1株あたり339.80香港ドル(約6,630円)という史上最高値を記録しました。しかし2026年3月31日時点では143.60香港ドル(約2,800円)まで落ち込み、約58%の下落となっています。時価総額は1,926億香港ドル(約3.76兆円)と依然として巨大ですが、ピーク時から比べると大きく目減りした格好です。
| 時点 | 株価(HKD) | 円換算(参考) |
|---|---|---|
| 2025年8月(最高値) | 339.80 | 約6,630円 |
| 2026年3月31日 | 143.60 | 約2,800円 |
| 下落率 | — | 約▲58% |
※HKD→円の換算は概算(1HKD≈19.5円)。為替変動により異なります。
絶好調の業績とは裏腹に──「Labubu一本足打法」が不安視される
逆説的なのは、業績は過去最高だということです。2025年通期の売上高は371.2億元(約7,795億円)で前年比184.7%増、調整後純利益は130.8億元(約2,745億円)で前年比284.5%増という驚異的な数字でした。
にもかかわらず、3月25日の決算発表後わずか5営業日で株価が35%以上も下落したのは、市場が「Labubu依存リスク」を強く懸念したからです。
市場が注目したポイント:
- 売上・利益の大部分がLabubuシリーズ1商品に集中している
- Labubuブームが終われば、他の商品で穴埋めできるか不透明
- 公的ファンドが2025年第3四半期(5,169万株保有)から第4四半期(4,154万株)へと1,000万株超を売却
- 複数の機関投資家が目標株価を引き下げ、空売り残高が増加
これは日本でも過去に起きたことです。タピオカミルクティーや「おじさんビジネス」など、一種類のブームに乗った企業が急成長した後、ブームの終焉とともに急落した事例は少なくありません。
会社の対応──怒涛のバイバック
急落を受けてポップマートは3月26日・27日・30日と3営業日連続で自社株買いを実施し、総額約11億香港ドル(約2,145億円)を投じました。2025年からの累計バイバック総額は14億香港ドル超に達しています。経営陣が「現在の株価は割安」と判断していることを示すシグナルである一方、投資家の不安を完全には払拭できていないのが現状です。
Labubuはなぜここまで広がったのか
Labubuのキャラクターはホンコン出身のアーティスト、龍家昇(カサ・ラン)が創作。日本や韓国のK-POPアイドルが愛用したことで一気にアジア全土へ広がりました。「持っているだけで映える」「ランダム性が集める楽しさを生む」という設計が、SNS文化と相性抜群だったわけです。
マレーシアでもKLセントラルやパビリオン(Pavilion KL)のポップマート店舗に長蛇の列ができ、転売市場では定価の数倍の値がつくことも珍しくありませんでした。
こうした「希少性×コレクター欲求」を刺激するビジネスモデルは非常に強力ですが、特定キャラクターへの熱狂が冷めると需要が急速に失速するというリスクも内包しています。
日本人投資家・在住者向けメモ
投資を検討している方へ:
– ポップマートは香港証券取引所(銘柄コード:9992)上場。日本の一部証券会社でも外国株として購入可能です
– 「好業績でも特定商品依存というリスクで急落する」典型例として参考になります。分散投資の重要性を改めて感じさせるケースです
マレーシア在住者の方へ:
– ポップマート店舗はパビリオンKL、1 Utama、ガーデンズ・ミッドバレー(Gardens Mid Valley)など主要モールに展開中
– ブラインドボックスはRM59.90〜(約2,360円〜)が多い価格帯
– 限定品や「シークレット(Secret)」バリアントは二次市場でRM1,000(約39,400円)超になることも。熱が冷めると価値が急落するリスクも念頭に
コレクターとして楽しむなら:
転売目的ではなく純粋にコレクションとして楽しむのがおすすめです。公式アプリでは在庫確認・オンライン購入も可能。焦って定価以上で買わず、公式店舗で購入するのが賢明です。
※価格・店舗情報は2026年4月時点。変更になる場合があります。
出典: China Press の情報を元に、日本人在住者向けに独自作成した記事です。価格・条件は変更される場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。


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